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第1話

美声
1,372
2022/03/31 16:09
ヒュウッと凶一郎兄さんの鋼蜘蛛が私の体と、お義父さん(?)に巻きつく
あなた
あわっ!?
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
家を捨てた男に鍵はいらないし、自分の息子の嫁も父さんにはいらないだろう?
お前達の成長が誇らしいよ
二人ともニッと笑うと、凶一郎兄さんが鋼蜘蛛を巧みに操り私を自分の方へ引き寄せ、お姫様抱っこと呼ばれるものをした、目を開けると、お義父さん(?)はいなくなっていた
ふわっ、と舞い上がる「桜の指輪」
凶一郎兄さんは片手で取り、ため息をついてから
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
家族は難しいな
と、言い、私をおろした
あなた
あ、ありがとうございます!
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
礼などいい、お前がいなくなったら六美が悲しむだろう
あなた
それでも、ありがとうございます
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
...やれやれ
庭の森から出ると
夜桜 六美
夜桜 六美
太陽落ち着いて!!!
夜桜 六美
夜桜 六美
どうして急に...
夜桜 四怨
夜桜 四怨
危ない六美、下がれ!
夜桜 太陽
夜桜 太陽
ガァァァァ!!
夜桜 七悪
夜桜 七悪
太陽兄ちゃんしっかり!
なんだこの状況はと思った、四怨姉さんと二刃姉さんと嫌五兄さんが六美を守り、獣のように暴れる太陽を辛三さんとゴリアテと七悪で抑えてる
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
いやー皆無事で何よりだ。さあ、屋敷に戻ってお茶でもしようか!
こんな状況の時何を言っているんだこの長男
夜桜 六美
夜桜 六美
凶一郎兄ちゃん!?それに、あなた...!どこ行って...
あなた
えっあ、いやァ
六美がそう言った時、二刃姉さんが見たこともないような形相で凶一郎兄さんを睨んだ
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
冗談だぞ二刃、冗談
夜桜 辛三
夜桜 辛三
すごい力だっ...なんで太陽が!?
夜桜 七悪
夜桜 七悪
六美姉ちゃんの血を摂取したって...もしかしてソメイニンの過活性が...!?
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
正解だ七悪
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
ソメイニンは全身の細胞を「覚醒」させ、筋力・知覚力を激増させる
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
だが「覚醒」の調節はとても難しく、しばしば過剰な情報に心身が耐えれず暴走状態になる
あなた
(そ、ソメイニン...?)
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
懐かしいな、小さい頃はうちの兄妹も時おり暴走が...
夜桜 六美
夜桜 六美
思い出に浸ってる場合じゃ...
そうこうしていると
夜桜 太陽
夜桜 太陽
ウガァ!!
と言い、三人の拘束をといた
夜桜 辛三
夜桜 辛三
うわァ!?
しかし、凶一郎兄さんが再び太陽の動きを止める
夜桜 太陽
夜桜 太陽
ウゥ〜〜ッ
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
調節の習得は追々学ぶとして、まずは応急処置だ
ガポッと、太陽に四怨姉さんのつけていたヘッドフォンをはめる
夜桜 太陽
夜桜 太陽
!?
夜桜 四怨
夜桜 四怨
ありゃ?あたしのヘッドフォン、いつのまに...
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
六美、血の投与時も暴走があっただろう、どうやって抑えた?
夜桜 六美
夜桜 六美
えっ
夜桜 六美
夜桜 六美
えっと...とにかく夢中で呼びかけたら収まって...
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
なるほどな
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
近しい者の声や体臭など、暴走状態でも優先される知覚がある
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
そこを重点的に攻めることで、処理能力をショートさせ沈静化できる
そう言いながら四怨姉さんのヘッドフォンの音量を最大にしていく
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
ということで六美、一曲よろしくな
と、凶一郎兄さんが言うと
「「「「「なっ...」」」」」
凶一郎兄さんと太陽と六美と、私以外が声をあげた
夜桜 六美
夜桜 六美
歌...
辛そうな顔をしている六美、それを擁護するように
夜桜 二刃
夜桜 二刃
待ちな凶一郎!!他にいくらでもやり方が...
と、二刃姉さんが言うが
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
いや、これしか方法はない、全ては太陽のため
そう言う凶一郎兄さんは説得力が1ミリもなかった、なんせ六美のグッズで身を纏っているからだ
夜桜 二刃
夜桜 二刃
100%あんたが聴きたいだけだろ!!!
夜桜 凶一郎
夜桜 凶一郎
いやー久々に六美の天使の歌声聴けるなんて♡
夜桜 二刃
夜桜 二刃
ふざけんな六美は歌が好きじゃないんだ!!太陽を盾に無理強いなんて...
夜桜 六美
夜桜 六美
ううん、いいの二刃姉ちゃん
夜桜 六美
夜桜 六美
太陽のためだもん...!!
意を決めたように、スッとマイクを口に持ってくる六美、六美の歌を普通に聴こうとしていた私は
夜桜 辛三
夜桜 辛三
あなた!早くこっち来て!
あなた
は、はい!
と、辛三さんに呼ばれ、みんなのいる方へ行った
二刃姉さんがゴリアテ、私が二刃姉さん、私を嫌五兄さん、嫌五兄さんを四怨姉さん、四怨姉さんを辛三さん、辛三さんを七悪、と、みんなで耳を塞いだ
次の瞬間
ぼえ〜
と、六美の歌声が聴こえた
私はそこで意識を手放した

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