すぐには、断れなかった。
あまりにも、真剣な目で見つめられたから。
柔らかく格好良い声で、『好きだよ』なんて。
囁かれたから。
想像すらしていなかった分、驚きは大きい。
こちらの様子をしばらく窺って居たころちゃんは。
やがて、苦しい表情を、気持ちを。押し殺したように笑う。
2度目の告白に、彼がどれ程の勇気を込めてくれたか
聞かなくても分かる。
もう、あの日みたいには、なりたくない。
心を決めた。意を決して、話しかける。
私の声に彼は、ゆっくりと。こちらを向く。
本当は、早く聞きたいはずなのに。
急かさないで居てくれたんだから。
私に出せる全ての誠意で。考えられるだけ考えた。
ー私の出した結論は。
恋を、『しない物』と考えず。
恋をするつもりで、生活する。
なにがあっても、曲げちゃ行けない。
これが私自身が決めた事だから。
目を逸らさないで、しっかりと伝えた気持ちは。
ころちゃんに、届いた。
とりあえず一件落着(?)と胸を撫で下ろしたのも束の間。
数分でいつもの調子を取り戻した
ころちゃんのアプローチ宣言に、戸惑う。
恋愛耐性が無いからやめて欲しいと懇願するも。
話に筋が通ってしまっていて。
これから、どうなってしまうのかと。諦めるしか無かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。