第30話

第29話 ころんside
3,647
2020/10/07 12:17
モブ1
モブ1
櫻井さんは、
碧山を好きなように見えないな、俺には
友達が、諦めれば?と笑う。
モブ1
モブ1
最近、全然話してないしさ
きっと、こいつも雅を好きなのだろう。
だからこそ、不敵に微笑む。
ころん
ころん
...うん。分かってるよw
でも、僕は雅を諦めない
ころん
ころん
生憎、諦めは悪い方だから
お前には、譲れないし譲らない、と。
ころん
ころん
...じゃ。僕、あいつ探さなきゃだから
モブ1
モブ1
.....(無理、か)...じゃな
その勢いのまま、友達と別れ。
喧騒を掻き分けながら彼女の姿を探す。
ころん
ころん
(人、多っ...まだ仕事中か?)
一度クラスに戻ると...居た。
雅
ありがとうございます!
満面の笑顔で接客をする幼馴染。
思わず見とれている客もいる。
ころん
ころん
(こう見ると。
...やっぱ整ってるんだなあ)
ずっと一緒に歩いて来たが。
彼女は昔からモテたし、女子からも好かれていて。
ころん
ころん
(...ずっと、羨ましかった)
誰からも好かれ、
いつだってクラスの中心に居る彼女の事が。
ころん
ころん
(ー僕の嫉妬も知らないで、本当に...
何で好きになっちゃったんだろう)
落ちたら最後、苦労する恋だと分かっていたのに。
ころん
ころん
ー好きだよ、雅
誰にも言えない想いを、
ざわめきに吐き出してから。
顔を上げると。
ふと、少し人の流れが落ち着き。
額の汗を拭った彼女と、目が合う。
雅
.......ころちゃん
毎日聞こえていて。
でも、最近は呼んでくれなくなっていた彼女の声。
ころん
ころん
(あの日の事を後悔しすぎて。
避けちゃってたけど、やっぱり僕は)
都合が良すぎるかも知れないけれど。
ころん
ころん
話すのは久しぶり...だな。
_あのさ、誰かと約束無かったら...
なんだけど
僕は、ずるいから。
全て気にしていないフリをして、言う。
ころん
ころん
この後、一緒に回って欲しい
雅
.......え
案の定、戸惑ったように固まる彼女。
告白の日の光景と重なって、思わず目を逸らす。
ころん
ころん
(本当に、最低な事した)
突き放して、無視を決め込んで、避けて。
その癖、自分の言いたいことは全部言う...なんて。
ころん
ころん
(もう二度と関わらないって
言われても、しょうがない)
軽蔑の目を向けられても、僕は彼女を責められない。
今こうやって。また話せている事自体、奇跡なんだから。
雅
.................いいよ。
ころちゃんさえ良ければ、回ろ
永遠にも思える沈黙のあと。雅は小さく頷いて。
ころん
ころん
え、え?まじ?マジで良いの?
僕は驚きと嬉しさのあまり、聞き返してしまう。
雅
良いに決まってるじゃん笑
一瞬だけ、いつもの笑顔を浮かべた彼女は。
またすぐに、作られた表情に戻って。
雅
皆が見てるから。
ちょっと移動しよう?
置いて行くよ、と微笑んだ。

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