第62話

番外編『忍び寄る影 ①』
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2020/12/25 11:08
それは、とある朝のHRでの事。
先生
皆もニュースを見て
知って居るかも知れないが。
先生
最近、この辺に麻薬取引の組織が
住み着いてるらしくてな、
誘拐未遂も何件か出ているようだ。
先生から知らされた話に、私は何度も瞬きする。
雅
(え.......麻薬?誘拐未遂?)
私がずっと暮らして来た平和な街には似合わない、
不穏なニュースだからだ。
先生
学校に来た警察からの書類によると、
まだ組織の大元が掴めて居ないようだから。
あまり夜遅くに1人で出歩かないようにな
少し、帰るのが怖くなって。
雅
(家の近くの街灯...
切れかけで、只でさえ気味が悪いのに...)
不安を吐き出すように、大きく息をついた時。
ころん
ころん
...........
ジッと此方を見つめる、ころちゃんの視線に気付いた。
雅
.........?((フリフリ
首を傾げながら、小さく手を振ると。
ころん
ころん
(今日、1人で帰るなよ)
ゆっくりと、口パクで伝えられた言葉に。
雅
.........(また過保護発動してる...)
呆れ半分で、笑みを返せば。
雅
(...あ。ご機嫌斜めになっちゃったかな)
一瞬だけ、不機嫌そうに顔を歪めた彼。
綾
(また雅を困らせて...)
分かりやすく拗ねて、フイっと前を向いてしまった。
先生
.....話は以上だ。
とりあえず、授業にはしっかり臨むように。
どうした物かと考え込む頃には、先生の話は終わって居て。
クラスメイト
クラスメイト
はーい
雅
(あー...途中から全然聞いて無かった...)
後で困る事が伝えられて無いと良いけど、なんて苦笑した。
先生
あぁ、そうだ。
先生
売り子として使える人間を攫えるだけ攫って、
そろそろアジトを変えそう...なんて噂も
あるらしいから。十分、気をつけるんだぞ
.....本当に聞き逃している言葉があるとも知らずに。
******
_____放課後。
ころん
ころん
じゃ。絶っ対に先に帰るなよ?
スマホ取り行くだけだから
手をギュッと握られ、同じような事を言われ続けて早10分。
雅
分かってるよ笑
何回同じ事言うの.....笑笑
心配してくれるのは嬉しいし、有難いけれど。
雅
ほら、早く行かないと。
教室施錠されちゃうかもよ?
ずっとこの調子だとキリが無いし、ラチが開かないから。
ころん
ころん
うっ...明日までスマホ無いのはキツい...
雅
でしょ?だから早く行っておいで
優しく微笑んで、取りに行くよう促す。
ころん
ころん
.......分かったよ
不満そうにしながらも教室に向かって行った彼を見送って。
雅
行ってらっしゃい笑
昇降口の壁に寄り掛かった。

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