何だか、胸がチクチクする。
時々向ける視線の先に居るのは、幼馴染の彼。
話しかけてくれないのは、珍しくて。
嫌われたくないと強く思っている自分に、驚く。
隣に居たい。
彼の事を、1番理解している人でありたい。
この想いを、何と呼ぶべきなのか分からなくて。
女子高生らしからぬ声で、唸っていると。
さすがと、言うべきか。
バッチリのタイミングで。
私にとっての恋愛相談相手が現れる。
その桁外れの洞察力で、瞬時に私の悩みの種を見抜き。
そして、『答え』へと導いてくれる。
思い出したのは、以前の私達の他わいもない会話。
あの頃は、聞いても全く分からなかった。
でも、今はー...........。
自分の思う特別が。
ころちゃんに対してだけ、形を変え始めて居て。
彼女の言葉が、フッと胸に収まったのは。
自分が気づくより前に、彼に恋をしていたと。
ようやく確認出来たから。
ーどうして今まで付けられなかったのだろう。
この気持ちの、名前を。
ようやく見つけた答えを忘れない内に、立ち上がると。
ようやく?と言いたげに優しく笑う綾。
大好きな親友の言葉に力を貰って、教室を飛び出す。
もう認めよう。
この気持ちは、『恋』だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!