俺は、どちらかと言うと不器用。
何を伝えるのにも素直に伝えられない。
女もどう扱えばいいかわからず、関係が続くことは
ほとんどない。
なんだ、この最後の絵文字。
いつも、こいつはクスッと笑わせてくる。
北斗「じゅーり!」
樹「うわ、なんだよ、お前かよ。」
北斗「なに。他の人期待してたの?」
樹「そうじゃねえけど…」
北斗「松村ちょっとショックー。」
樹「うるせぇな。」
今日、俺は頗るに気分が悪い。
何も無いんだけど、自分のマイナスな部分があまりにも
浮き出てくる。
最近、ネガティブになる時間が長い。
仕事に支障きたしそうだ。
北斗「ねぇ、聞いてる?」
樹「あ、わりぃ。何?」
北斗「ほんと最近大丈夫なの?疲れてる感じがすごいんだけど。」
疲れてる…そういえばそうか。
最近、すごく好きだった彼女に浮気されたんだっけ、俺。
チャラチャラしてるように見えて浮気されましたなんて
言う器、俺には持ってねえ。
北斗「あ、彼女さんとはどう?上手くやってる?」
ほら、こういうの嫌いだ。
なんて返したらいいんだよ。
北斗「…なんかあったんだな。俺に言ってよ。」
樹「別に。」
北斗「彼女の話するの好きだったじゅりがいきなりしなくなり、そして、暗い。彼女のことを聞くと黙る。」
お前は探偵にでもなったのかと
ツッコミを入れたくなるほど淡々と言葉を並べていく北斗。
樹「…浮気された。彼女に。」
北斗「え?マジで?」
樹「嘘はつか…」
北斗「何その女。じゅりこんなに一途なのに。1回しめるかっ!!」
樹「お前は逆にしめられそう。」
北斗「なんだよそれ!失礼だな!!」
樹「んは。笑 嘘だよ。ありがと。もう別れるよ。」
北斗「おう!じゅりには俺がいるから大丈夫」
樹「女と男はちげえよ。笑」
北斗「あ、そうか。笑」
案の定彼女は弁解して泣きついてきたが、もう許さなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!