第17話

何を見て、何を信じるか。
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2019/03/03 06:20
朝倉 沙耶
……っ。
その後、混乱している私を見てお兄ちゃんは呟いた。
拓也兄
やっぱりまだ無理だったかな?
そう言って微笑んだ。私は、なんも言えなかった。

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今、私はお店にいる。
掃除をしているけど…お兄ちゃんとの話が頭に何度も出てきて…集中出来ない…。
拓也兄
『全てを話すのはまたちょっと後にしよう。』
拓也兄
『僕は、また探しに出るが…君はどうする?』
朝倉 沙耶
『○○店に戻る。』
拓也兄
『そうか。』
そういうと、お兄ちゃんは立ち上がった。
朝倉 沙耶
『○○店にいるから…帰ってきてね。』
朝倉 沙耶
『これからは、一緒に行動しようよ…。』
拓也兄
『分かった。夜になったら戻る。』
私の視界からそっと消えた。その後、私は静かに泣いた。

《どっちが本当のお母さん?色々と複雑過ぎる…。》



《現在》
ナナ
…?
ナナ
……!……ノエル!?
朝倉 沙耶
はっ!?
気がつくと目の前は心配そうな目をしたナナが立っていた。
ナナ
大丈夫?ノエル。
朝倉 沙耶
うん、大丈夫…!
ナナ
もうそろそろ店を開く時間だわ。ドアを開けて〜
私は、微笑んで頷き…ドアへ向かった。

日が暮れて…街には赤く染まっていた。いつの間に時間が過ぎていたんだ…。

ぼーーっとし過ぎた。
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変わらず夜でも客は来る。

ドアが開く度に『いらっしゃいませ!』と声をかけ、注文を聞き回る。

《ドアを開く音》
朝倉 沙耶
いらっしゃいませー!
手にある皿をテーブルに置き、入ってきた客が座ったテーブルに向かう。
朝倉 沙耶
ご注文は……
沙耶?
……え?

顔を上げて客の方を見る。
朝倉 沙耶
えっ……もしかして……
ずっと…探していた人…?











朝倉 沙耶
リュウ…?
そう言うと、目の前に居る人は深く被っていたフードをとり…微笑んだ。
リュウ
元気にしてたか?
朝倉 沙耶
リュウ!!
メモ帳をテーブルに置き、すぐさま抱きついた。
朝倉 沙耶
生きてた!生きてた…!!
リュウ
ちょっと…俺が死ぬわけがねぇだろ!
朝倉 沙耶
ごめんなさい…!!ごめんね!
私が約束を破ったばかりに…リュウは大変な目に遭ったかもしれない。

だって…あの赤居温泉は、皆から恐れられるキョーナ様がいたのだから。
朝倉 沙耶
キョーナに捕まられなかった!?
リュウ
捕まるかよ!とっさに逃げたから大事に至らなかったぜ。
朝倉 沙耶
本当にごめんなさい…
リュウ
…はぁ……しょうがなかったんだろ?どうしようもなかったんだろ?
朝倉 沙耶
………うん…。
その後、レオとナナの所に向かって…『見つかりました!』と報告した。
ナナ
探し人が見つかったの!?
レオ
良かったじゃんか!もっと話してこい!
ナナ
うん!ちょっとの間だけなら私だけで充分だから!
そう言われたので…リュウと話すことにした。

私は、キョーナに捕まったこと。龍が助けてくれたこと。その後のこと…を話した。
リュウ
……龍が助けた?
朝倉 沙耶
うん!私のことを小さい頃から知っているらしいの!
リュウ
お前も知っているのか?
朝倉 沙耶
……いや……。
そう言うと、ちょっとリュウの顔が曇ったように見えた。…気のせいかな?
朝倉 沙耶
あ、お兄ちゃんと出会ったの!
リュウ
お前、兄さんいたの?
朝倉 沙耶
うん、いたけど…ずっと行方不明だったの。
リュウ
へぇ……
朝倉 沙耶
でも、ここに居たみたいで…今日やっと会えたの。夜になったらここに来ると思うんだけどね!
リュウは、コップの中にある水を全部飲み干して…そう言った。
リュウ
感動の出会いって言うことか。めでたしだな。
棒読みで言い…パチパチパチと手を叩く。
朝倉 沙耶
愛想がない…。
朝倉 沙耶
リュウは、変わらずイラッと来ますね…。
リュウ
なんだよそれ…。あっ、あんさぁ〜
朝倉 沙耶
うん?
リュウ
元の世界に変える方法見つかった?
朝倉 沙耶
……いや……。
リュウ
兄となんか話さなかったの?
リュウ
てか、兄さんどうやって来たんや。
ん?……ちょっと待って…。
朝倉 沙耶
私が1番願っていることは何?
リュウ
…は?
『元の世界に帰りたい。』
よく思い出してご覧。兄さんは、なんかの方法でここに来た。

ならば…お兄ちゃんにその道を聞いて…その通りに辿ったら帰られる。


なんだ…簡単なことじゃん。
朝倉 沙耶
うん、帰られる。
リュウ
…は?いや、1人だけで理解すんな。
朝倉 沙耶
へへー、簡単なことだったんだ。
朝倉 沙耶
お兄ちゃんが帰ってきたら聞こう。そして帰る!!
リュウは、口を開いてぽカーンとしていた。
リュウ
とりま…良かったのか?
私は、グッドポーズを作って微笑んだ。
朝倉 沙耶
うん、良かったのだ!
この世のあーだこーだなんての事…どうでもいい。

私には関係ない。知らない。
お母さんが二人いる?ラリーナ?

私は、地球にいるお母さんが本当のお母さんだと思い込む。


自分勝手だな。とか、無責任だな。とか思われたり、ガッカリされるかもしれないけど…別にいい。

勝手に連れてこられて…私こそ何なんだ!っていう話だ。






《なんだぁ……簡単な話じゃんか。》



全てが解決したように思えてきて…ほっとした私の頭に何かが遮ってきた。
ノエル…ノエル……。
前…、なんて名前を言おうか。と悩んでいる時に聞こえた声と同じだ。


私は、ノエルじゃない。沙耶というなまe……
ごめんね。…許して。
次の瞬間、頭に痛みが走った。


ズキッ!ズキズキ…!!…っ!!
リュウ
どうした!?大丈夫か?
リュウの声は聞こえるけど…何も見えない。

真っ暗だ。何……これ??



何が起こっているの?

少しの光が見えたと思えば…1人の女の人がこっちに来る。

綺麗な金色の髪の毛。白い肌。緑の瞳をしていた。
ノエル…。………またね。

その人は、泣いていた。


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リュウ
おいっ!?
朝倉 沙耶
はっ!!?
女の人は消え…リュウが見えた。
リュウ
大丈夫か?
朝倉 沙耶
え、何が起こったの?今……。
リュウは、顔をかしげた。さっきのは私だけが見えたの?


《ドアを開く音。》

ドアの方に振り返ると、お兄ちゃんが立っていた。
朝倉 沙耶
あ、お兄ちゃ…
拓也兄
何故こいつと居るんだ!?沙耶!!
次の瞬間、怒鳴られた。
朝倉 沙耶
え?
拓也兄
何故……こいつと…!??
お兄ちゃんが睨む先には…リュウが立っていた。

私は、さっぱり何が起こったのか分からなかった。次々と……何?


リュウは、微笑んで顔をかしげた。












リュウ
…ん?何のことかな〜?










『ノエル…。………またね。』

『ラリーナ様。お時間です。』ーーーーーーー。







《どうやらそう簡単には帰らせてくれないようです。》

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