第2話

鈴のオト
362
2018/12/11 22:01
スクール鞄を手に…牛乳をグイッと飲み干して…


身だしなみもおk!
朝倉 沙耶
行ってきます!!
スクール靴を履いてドアノブに手をかけた時…


お母さんの声が玄関まで飛んできた。
お母さん
朝ごはんはぁー??
朝倉 沙耶
ごめん!要らない!
と言い、ドアを開けて行った。



ドアを閉める前に、
お母さん
あーあ、せっかく作ったのにぃ… 
というお母さんの声が聞こえた。

ごめんね!《明日》は、早く起きて食べるから!







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カンカンカンカン…


踏切が下ろし…電車が線路の上を走って駅へ近づいてくる。


いつも乗る電車にはぎりぎり……












間に合わなかった。

朝倉 沙耶
ぁぁぁぁぁあああ!!
ち、こ、く……決定だァ!!!!




ここまで走ってきたから、息を切らしてる私の耳に…






チリン…チリン…!





鈴の音が響いた。
朝倉 沙耶
…ん?
周りを見るが…鈴らしいものはなく…


もう鈴の音は鳴らなかった。
朝倉 沙耶
ん……何だったんだろ?
あんまり気にしないことにした。



それしても、今回の夢…不思議だったなぁ…。




次の電車が来るまでの待ち時間は、今回の夢を振り返ってみることにした。



綺麗な白い毛…。


長いヒゲ…。


緑色の目をした………龍。


あれ…?いつもなら見た夢はすぐに忘れるのに…

今回は、ちゃんとハッキリと覚えてる…。





ま、いいか。









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黒板にチョークを走る音。

先生の話し声。

シャーペンの音。






授業始まってるな…。






ギィ………。


そっと部屋の一番後ろのドアを開け、そっと閉める。



腰を低くして…先生にバレないように席へ移動する…。


(お、行けるかも…!?)





『そこ、朝倉。何やってるんだ?』

先生の低い声が響く。
朝倉 沙耶
は、はいっ!!
そこで、ドッと、笑い声が大きくなる。


(もう…最悪…恥ずかしい…!)


顔を俯きながら静かに席に着く。



私の席の前の席の女の人が振り返って、



『今日も派手にしたねぇ…(笑)』


と、笑いながら小声で言ってきた。

その人が、私の親友…早川 多恵だ。

肩まで、髪の毛を伸ばしてる私と違い、ショートカットでスポーツ系女子だ。
朝倉 沙耶
もう…言わんといてよォ…


チリン…チリン……




(あ、まただ…。)


鈴の音?一体どこから?



私は、窓の方に顔を向けた。

その瞬間また、その音は消えたのだった。


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放課後のチャイム……。
朝倉 沙耶
お、終わったぁー!!
背伸びをし、教室から出る。
早川 多恵
あれ?部活は?
朝倉 沙耶
今日…休みなんだよね!
早川 多恵
そっか!気をつけてね!
朝倉 沙耶
うん!部活頑張ってね!
多恵は、「ありがと!」と言いながら体育館へ走っていった。



《気をつけてね》

その言葉…その時は当たり前のように、なんも感じなかった。

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だんだん赤色に染まる空…。


足音…。


猫の鳴き声…。


大きくなっていく……











鈴の音ー。







ずれ落ちる音。




『痛い…、誰か助けて…。』



私は、目を閉じた。



本当にあっという間だった。


































朝倉 沙耶
………ん………はっ!?
眠っていた目を開けて…私は、顔を上げた。
そこにあったのは……


大きな鳥居…。

たくさんの明かりがつけていて…


屋台が道の端に並んでいた。


建物と建物の屋根から、看板らしいものが吊り上げている…。



人間のようでちょっと違うような人がたくさんうろついていた。



『いらっしゃい!美味しいものあるよ!』


『赤居温泉まであと少しだよ!!』




立派な鳥居の向こうには…でっかい色々なものが埋まったような建物…。

てっぺんからは湯気らしいものがたくさん出ている…。



『何?あれ、人間じゃ?』


『え、やめてよ、汚いわ』




私を見る人は、みんな不思議そうな顔をしている。





朝倉 沙耶
え、え、え……?
今、私の身に何が起こったの……?


ここは………どこ??






本当に突然で頭がついていけなかった。













…チリンーー。


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