第12話

今夜は、いつもより冷えそうだ。
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2019/01/18 10:20
朝倉 沙耶
え、えっと……
どう反応すればいいのか分からず焦る私…。
朝倉 沙耶
いや、美味しそうでしたので…
え、そう……
苦笑いを浮かべる私に対し、心配そうな顔をする女の人。
今日…あなたのこと、何回か見かけたわ
朝倉 沙耶
えっ?
仕事探してるって?
朝倉 沙耶
は、はい…
夜の風が吹く…。



雲が動き…隠れていた月が顔を出す…。

月の光で少しずつ……

目の前に居る人の顔が見えてくる。



前髪をあげて…一つ三つ編みをしていて…

優しい笑顔でこう言った。
良かったら、私のとこで働かない?

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その人が働いているというお店に連れてくれた。
ここよ、私が働いているの
レンガで出来ていて、おしゃれなお店だった。
どうぞ、入って
中に入ると…中も予想通り、おしゃれで…木で作られた机に椅子がずらりと並んであった。

棚には酒などが置いてあった。

朝倉 沙耶
あの、ここは…
あぁ、ここは飲食店。夜しかやってないけどね
ニッと笑いながら、「そこらに座っといて」と言う。
朝倉 沙耶
はい。
水を入れて持ってくると女の人も腰をおろした。
朝倉 沙耶
ありがとうございます…
朝倉 沙耶
今日、店 開かなくても大丈夫なんですか?
大丈夫!大丈夫!
元々休みの日だから!
水が入ってるコップを見つめて…唾を飲み込んで口を開く。
朝倉 沙耶
あの!ここで働かせて貰えるのですか?
…!?うん!もちろんいいよ!
その時、心からほっとした。

飲食店で働かせてもらえるなんて、運がよかった。
客も来るから、情報も得れやすい…。

リュウも、たまたまこの店に来るかもしれない。
疑問の3つに関しての話も入ってくるかもしれない。


店をやっているのは夜だけらしいから、昼の間には時間が空き、リュウを探すことが出来る。
朝倉 沙耶
あ、私の名前は…
言わなくてもいいよ。
朝倉 沙耶
……えっ?
絶対に言わないといけないって言うわけじゃないんでしょ?
コップの中の氷が少しだけ溶けて、カランコロンと音がする。
なんか秘密でも抱えてるんでしょ?
朝倉 沙耶
……。
ふふっ!そんなに怖がらなくても大丈夫だよ
私もだからね。へへっ
「お互い大変やね」と微笑む。

凄い…。この人…会ったばかりちょっと話しただけなのに…ほっと安心出来て暖かい気持ちになれる。

偽名でいいよ。私は、ナナ
ナナ
ナナって言うの、よろしくね!あなたは?
朝倉 沙耶
私は……、
どんな偽名にしようか。と悩んでいる時、ズキッと頭に痛みが走って…

聞こえた優しい声。透き通った声。


「ノエル…。」


懐かしいような気もした。でも記憶はない。
朝倉 沙耶
ノエル…ノエルです。
他に名前が思い浮かべなかったから、この名前にした。


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ガシャーン!!!!
ドンッ!!!!
資料の紙は、ばらつき…

皿や、ガラスは沢山割れ…、

全てが荒れていた。



僕は、やめるよう声をかけるしかなかった。
キョーナ
うるさい、うるさい、うるさい!!
落ち着いてください…キョーナ様
キョーナ
黙れ!!!どのヅラをさげて帰ってきたのよ!!??
また1つのガラスが割れる。



全ては、僕の責任だ。僕がちゃんとしなかったからこうなってしまった。

キョーナ
せっかく捕まえたのよ……!!!!
キョーナ
逃がす理由がわからない!!!!
すいません…少し魔を刺してしまいました。
ドンッ!!!!


キョーナ様は、もうめちゃくちゃだ。

前は、もっと…優しくて…いい人だったのに…。


無理はないだろう…。全ては…………。
キョーナ
しかも…キョーナ様じゃなくて…キョーナさんだってぇ!???
キョーナ
あなたは、誰よりも1番分かっているのよね?
ぼさぼさな髪の毛で…助けを求めるのように僕にしがみついてくる。
キョーナ
私が世界一悲しい人だって…
キョーナ
あなたが…誰よりも1番……分かっているはずなのよ!!!!
キョーナ様…どうすればあなたの心は救われますか?
キョーナ
私を憎む人を全て…殺したらよ…
僕だって…殺すと言うのはあんまりいいことでは無いぐらい知っている。

…………。
とうとう僕は、なんも言えなくなった。

何年も同じことを何回も言われ続けてきたからだ。
キョーナ
はぁ……
少し落ち着いたのかキョーナ様は、立ち上がると…窓に向かった。

ふらふらした足で…必死に歩くのを見るだけで…僕は辛かった。
キョーナ
あいつは?まだ見つからないの?
ラリーナのことですか?
キョーナ
そう…私の大っ嫌いな妹のことよ…
それに関しては今も全力で探しております…。
キョーナ
それを言い続けて何年目?
ジッと、冷たい目で僕を睨む。
もう…100年も経ちます。
キョーナ
もういい加減見つけて頂戴…
……はい。


今夜は、いつもより冷えそうだ。











いつになれば…この問題は、解決されるのだろうか。












それは、僕も…誰にも知らないーー。



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