第22話

ちゃんと向かい合って 〜拓也兄side〜
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2019/04/06 14:45
〜拓也兄side〜
拓也兄
はぁはぁ…
本当は、沙耶も一緒に来た方がいいんだが…。

あのキョーナ様なんだ。何をするか分からない。
たった一人の妹だからこそ危険な目を合わさせたくない。

キョーナは、ラリーナの姉なのだから何か情報は得られるのだろう。と考え…僕はそこに向かうことを決心したんだ。



そんなことを考えている間に、もうキョーナの部屋前までやって来た。
拓也兄
…はぁ、よし。
ドアを開ける音 ))


ジッと睨みつける先にはワインを手に座っている長い黒髪をした若い女の人がいた。
キョーナ
何事…?ノックもせずに
拓也兄
お前がキョーナか!?
キョーナ
…そうだけど?
ワインを机にそっと置き…キョーナは、立ち上がる。
キョーナ
あなたこそ、誰よ?
拓也兄
ナツ…でも言おうか?
ナツ…。それは、この世での僕の真の名前だ。
拓也兄
ラリーナの息子って言ったら分かりやすいかな?
キョーナの顔が冷たくなっていった。

唇を噛み…カツカツと右足を鳴らす。
キョーナ
何ですって?
キョーナ
ラリーナの息子と娘は、私の部下に殺されたと聞いたのだが?
部下って…リュウか。

僕らを殺した…? 一体何言ってるんだ…。
も、もしかして…あいつは…。
拓也兄
はぁ、あいつは…。ハハッ
キョーナ
何笑ってるのよ!!
ドンッ!!! ))

キョーナは、机を叩き…叫んだ。
キョーナ
リュウ…。リュウまで私を騙したの?
拓也兄
…みたいだな。
ジッと今度はキョーナが僕を睨みつけてきた。
拓也兄
おいおい、睨みたいのはこっちだよ
拓也兄
お前、ラリーナの姉なんだろ?
ガシャーン!!! ))

ラリーナという名を挙げた途端に、机の上にあったグラスや、ワインを地面に叩き割った。

赤ワインがじゅうたんに染み込んでいく。
まるで闇に覆われていくのように…。
キョーナ
あんた、憎たらしいラリーナの血が流れているのね?
キョーナ
しかも!!
キョーナ
憎いあの男の顔にそっくり!!
キョーナ
えくぼも…目も…口も…鼻も…
キョーナ
ムカつくのよ!!!人間の癖に!!
この言葉からすると…キョーナは、どうやらラリーナの事が嫌いみたいだ。

でもどうしてだろう?

そして、あの男に似ていると言った。
そういえばラリーナの旦那。僕の真の父を…

僕は知らないー。



その人も、キョーナと関わりがあったようだ。
拓也兄
ラリーナはどこにいる?
そんな事より、今はラリーナの事だ。

姉ならなんか知ってるはずだろう。
キョーナ
そんなの私が聞きたいわよ。
拓也兄
お前、姉なんだろ?
キョーナ
そうよ?
拓也兄
だったらなぜ知らな…
キョーナ
あいつらは!!
私をこき使って駆け落ちしたのよ!!
そう叫びながら、キョーナは体を崩した。

驚く事ばかり口にするから全く訳が分からなくなった。
拓也兄
どういうことなんだよ…?
キョーナ
あんた、なんも聞かれてないのね?
キョーナ
可哀想に…ハハッ!!
拓也兄
…っ!聞く暇もなかっ…!
キョーナ
教えてあげる。
キョーナ
あんたの親がした事をね!!
キョーナは、嘲笑いながら顔を上げて僕を見た。

僕は睨み続けた。


キョーナは、今までと違った悲しそうな目でこう言った。
キョーナ
本当……似てるわね…ハハッ
拓也兄
…!?
ほんの一瞬だけど…こんな事を思った僕を殴りたいけど…

真の親を悪く言う腹立つ人にちょっとだけ情けをかけてしまった。

あぁ、この人はなんかされて変わってしまった人だけで…本当は可哀想な人じゃないか?…ってな。


何かもめちゃくちゃで…何かに縛れているようで苦しんでいる女の人しか見れなかった。
キョーナ
全ての始まりは…100年前のことよ…。


そこでちょっとした昔話が始まった。

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