第13話

消えてゆくモノ
161
2019/01/26 09:32
『おはよう!よく眠れた?沙耶』

キッチンでニコリと微笑みながら振り返る私のお母さん。

朝倉 沙耶
うん!眠れたよ。
私は、そう答え…テーブルの席に腰をおろす。
『あのね、…ちょっと聞きたいことがあるの。』

そう言いながらお母さんも、目の前の席に座る。
お母さん
あなたの名前なんだったっけ??
朝倉 沙耶
………え?
何言ってるの?…お母さん?
朝倉 沙耶
何言ってるの?あはっ!
朝倉 沙耶
私の名前は、ノエルだよ?
お母さん
そっか!ノエルという名前だったね!
朝倉 沙耶
うん!
え?そうなの?……違うよ。私は、沙耶って言う名前。

ノエルは偽名だよ……??



お母さん!!!違うってば!!!ねぇ……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝倉 沙耶
はっ!??
慌てて目を覚ますと…そこは、見慣れない部屋が広がっていた。
朝倉 沙耶
えっ?ここは……
だんだん昨日の記憶が戻ってきて、私はため息をついた。
そっか、昨日の夜…ナナと話した後、

『お店の裏に空いている部屋があるから、使っていいよ。』

ってナナに言われて、ここに泊まることにしたんだった…。
朝倉 沙耶
……はぁーー
さっきの夢……何…?
朝倉 沙耶
私の名前は…沙耶だよね?
朝倉 沙耶
うん、沙耶だよ。
ここに来て何日目?あぁ、もう三日目か……。



顔も洗い終わり、何しようかと考えている時、ドアを優しく叩く音が聞こえた。

ドアを開くと、そこにナナが立っていた。
ナナ
おはよう!よく眠れた?ノエル
朝倉 沙耶
あ、うん。おかげさまで!
ナナも、隣の部屋に泊まって暮らしているらしい。
朝倉 沙耶
それしても、店の裏に泊まれる部屋があって助かった…
ナナ
遅刻しなくて済むもんね!
そう言うと、ナナはクスクスと笑う。

私も、へへっ。と笑った。
ナナ
あ、その後…時間ある?
朝倉 沙耶
あ、あります
ナナ
じゃあさ!朝ごはんを食べてから、ちょっと街に出かけない?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
街に出ると、たくさんな人達が通っていた。

動物に似ている異世界人を見かけると、どうしてナナは、《人間》に似ているんだ?と思い…聞くことにした。
朝倉 沙耶
あの……なんでナナは…
《人間》って言おうとしたが…この世は《人間》を処分するのを思い出して、この言葉を飲み込んだ。
ナナ
ん?何〜?
言おうかどうか、迷っていると…
ナナ
分からないことはなんでも聞いていいからね!
と、心配した顔で言ってくるのだから、ちょっと言葉を変えて聞くことにした。
朝倉 沙耶
妖怪とか…怪物に近い人もいるけど…
朝倉 沙耶
ナナは、なんで違うの?
ナナ
それ言ったら、ノエルも…
ナナは、その以上言おうとしたなんかの言葉をそっと飲み込んで……腕を組み、首を傾げて考え込んだ。
ナナ
それは、私もわかんないんだよなぁ〜
ナナ
ま、色んな人がいるからね!
ナナ
最初から、そういうように作られたんだと思うよ〜
そっか。そうなんだね…。

人間が地球で普通に生きてると同じように…

ここの異世界人達も、最初からそういうように生きてきたのかな?
ナナ
ねー、ノエル!
朝倉 沙耶
あ、うん、何?
ナナ
ノエルはさ、なんでこんなに肌白いの?
ナナは、私の顔を指しながら問いかけてきた。
ナナ
親からの遺伝子??
そう…私は、肌白い。

自分だって変わってるなって思う。



これは、親からの遺伝子じゃない。
朝倉 沙耶
ううん、違うよ。
朝倉 沙耶
生まれつき…肌白かったよ。
私も、ちょっと疑問がある。


なんでこんなに肌白いのか…。

親は、そんなに肌白くない。


そして、日焼けもしない。どんだけ日が当たっていても…肌白いままだ。


元の世界にいた頃、うざくなるぐらい…友達に羨ましい!って言われたものか。


肌白いのは、別に嫌じゃなかった。逆にありがたい。


私と………、
朝倉 沙耶
………あっ…。









私と……もう1人の兄は、肌白かった。










兄は、5年前…突然姿を消した。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後、昼ぐらいまでは…ナナから色んなことを教えてくれた。


この街のこと。

赤居温泉の経営主は、皆から恐れられていること。

人間が1人この世に紛れてきたって最近噂になったこと。

その人間は、まだ見つかってないこと。

キョーナ様には妹がいること。



だけど、話してくれないこともあった。

それは、100年前の出来事。

キョーナ様の妹の事。





やっぱり…この世はなんかある。

そうだって、なんとなく分かった。





とりま、今夜は…働こう。

何かに行動を出るには…お金が必要だ。






よし、今は仕事に集中しようー。





プリ小説オーディオドラマ