『おはよう!よく眠れた?沙耶』
キッチンでニコリと微笑みながら振り返る私のお母さん。
私は、そう答え…テーブルの席に腰をおろす。
『あのね、…ちょっと聞きたいことがあるの。』
そう言いながらお母さんも、目の前の席に座る。
何言ってるの?…お母さん?
え?そうなの?……違うよ。私は、沙耶って言う名前。
ノエルは偽名だよ……??
お母さん!!!違うってば!!!ねぇ……
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慌てて目を覚ますと…そこは、見慣れない部屋が広がっていた。
だんだん昨日の記憶が戻ってきて、私はため息をついた。
そっか、昨日の夜…ナナと話した後、
『お店の裏に空いている部屋があるから、使っていいよ。』
ってナナに言われて、ここに泊まることにしたんだった…。
さっきの夢……何…?
ここに来て何日目?あぁ、もう三日目か……。
顔も洗い終わり、何しようかと考えている時、ドアを優しく叩く音が聞こえた。
ドアを開くと、そこにナナが立っていた。
ナナも、隣の部屋に泊まって暮らしているらしい。
そう言うと、ナナはクスクスと笑う。
私も、へへっ。と笑った。
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街に出ると、たくさんな人達が通っていた。
動物に似ている異世界人を見かけると、どうしてナナは、《人間》に似ているんだ?と思い…聞くことにした。
《人間》って言おうとしたが…この世は《人間》を処分するのを思い出して、この言葉を飲み込んだ。
言おうかどうか、迷っていると…
と、心配した顔で言ってくるのだから、ちょっと言葉を変えて聞くことにした。
ナナは、その以上言おうとしたなんかの言葉をそっと飲み込んで……腕を組み、首を傾げて考え込んだ。
そっか。そうなんだね…。
人間が地球で普通に生きてると同じように…
ここの異世界人達も、最初からそういうように生きてきたのかな?
ナナは、私の顔を指しながら問いかけてきた。
そう…私は、肌白い。
自分だって変わってるなって思う。
これは、親からの遺伝子じゃない。
私も、ちょっと疑問がある。
なんでこんなに肌白いのか…。
親は、そんなに肌白くない。
そして、日焼けもしない。どんだけ日が当たっていても…肌白いままだ。
元の世界にいた頃、うざくなるぐらい…友達に羨ましい!って言われたものか。
肌白いのは、別に嫌じゃなかった。逆にありがたい。
私と………、
私と……もう1人の兄は、肌白かった。
兄は、5年前…突然姿を消した。
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その後、昼ぐらいまでは…ナナから色んなことを教えてくれた。
この街のこと。
赤居温泉の経営主は、皆から恐れられていること。
人間が1人この世に紛れてきたって最近噂になったこと。
その人間は、まだ見つかってないこと。
キョーナ様には妹がいること。
だけど、話してくれないこともあった。
それは、100年前の出来事。
キョーナ様の妹の事。
やっぱり…この世はなんかある。
そうだって、なんとなく分かった。
とりま、今夜は…働こう。
何かに行動を出るには…お金が必要だ。
よし、今は仕事に集中しようー。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。