第4話

信じるモノ
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2018/12/15 03:31
『人間だァ!!!逃げたぞぉ!!』




すぐに騒ぎは、大きくなり…

みんなキョロキョロしては、走っては、私を探している…。





私は、道路の外れの狭い道で身を隠していた。






朝倉 沙耶
(すすり泣く声)

手首が痛いよ…。皮が剥けて血が出ている…。





怖いよ……ここはどこ??


お腹がすいた…。

『あーあ、せっかく作ったのにぃ…』




朝、ドアを閉める前に聞こえたお母さんの言葉。


あー、あの時…無理やりでも食べれば良かったのかもしれない。


もしかしたら…もう帰られないのかもしれ…





いやいやいや!帰るんだ!!



でも、《最悪な場合》を《帰られない場合》を思い浮かべては…目が熱くなる。


朝倉 沙耶
寒い…
冷たい風が頬を撫でていく…。

上を向けば…真っ暗で星が広がってる夜空がある。




今、何時?


いつなの?


ここはどこ?


ここに、人間はいないの?


帰る道は?


どうしてこうなったの?






ねぇ……





誰か……






教えてよ…。






またまた目が熱くなって…私は、俯いた。

体育座りで膝と膝の間に顔を埋めた。
朝倉 沙耶
(すすり泣く声)


……帰りたい。












《足音》







《近づいてくる足音》





誰……?






《足が止まる音》





私…処分されるのかなぁ?



もう動けないし………、今逃げても無理だろうなぁ…。






『おい、そこのお前。』



低い声…。さっきの狼さんかな…?



『そんな所で、何してんだ?』



私は、ゆっくり顔を上げた。



日本と似ているGパン…。


不思議な柄のTシャツ…。


そして、黒いマフラーを巻いていた。






闇のように真っ黒な目。

それなのに雪のように白い髪の毛…。

私と、同じ年ぐらいの男だった。



優しい目…ではなく、冷たい目で私を見下していた。

そんな所で、何してんだ?
朝倉 沙耶
ぁ、ぁあの……
なんだ、喋られないのか?

1つの1つの言葉が…

私にとっては冷たく聞こえた。




何にも信じられそうになかった。





この人も…優しそうにして私を《山丸事務所?》っていう所に届けるのかな?


チッ…
なんも答えられなかったから、イラついたのか


目の前の人は、舌打ちをした。

朝倉 沙耶
…わ、わ…私は…
朝倉 沙耶
に、人間です…。
何言ってるんだ?私は……。
質問の答えになってねぇな
…あぁ、お前か。人間がこの世に紛れてきたと騒いでいた元は…。
目の前の人は、ゆっくりとしゃがむと…
山丸事務所に届けたら、金が貰えるんだよなぁ?
朝倉 沙耶
………。
やっぱり、金が貰えるんだ。



だからみんなは、私を探して…

山丸事務所に届けて…金を貰おうとしてるのかな?
……はぁ、
ため息をつきながら立ち上がると…
ついて来い。
朝倉 沙耶
………えっ?
驚いて顔を上げてちゃんと顔を見た。



意外と綺麗な顔だった。


ついて来いってゆってるんだ。



助けてくれるのかな?

それとも、山丸事務所に届けるため?


どうかいい方だと…

そうだと信じて…力を絞って立ち上がる…。



【今は、そうするしか方法はないと思ったから。】
この姿じゃバレバレだな
そう言うと…首に巻いていたマフラーをとって


私の首あたりにぐるぐると巻いた。

朝倉 沙耶
……暖かい…
ちょっと体が冷えていたから…。

マフラーが首に巻いてあるだけで…暖かく感じる…。
温めるために巻いたんじゃねえよ。
姿を隠すためだよ、馬鹿野郎が。


口は悪いけど…優しそうなのかな……?



私は、口を開いて1つの事を聞く…。
朝倉 沙耶
ねぇ…君の名前は…?
……。………リュウだ。
意外と教えてくれた…。

言ってくれないと思っていたから…ちょっとだけ驚いた。
朝倉 沙耶
リ、リュウ…?
朝倉 沙耶
…あ、私の名前は…
それは後にしろ、豚。
朝倉 沙耶
は、はぁ…
ちょっとイラッと来たけど…今は、この世にいるからには…

彼の言うことを…従った方がいいかもしれない。



『行くぞ、ついて来い。』

と言いながら、何もなかったように…まだまだ私の事で騒ぐ街の道路へ踏み出していく。






彼の…リュウの背中を追って 私も、首に巻いてるマフラーを握って…




狭い道から、外へ足を踏み出した。








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