第3話

《処分》
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2018/12/12 22:06
朝倉 沙耶
ど、どうなってるの…?
頭を手で抱えて…必死にさっきまでの出来事を思い出す…。


帰り道…。

私は、普通に歩いていた…。


そしたら、助けを求めるのような猫の鳴き声が聞こえたんだ…。



私は、どうした? 『助けに行った。』



猫がいた場所は? 『崖の途中…。』




私は、必死に手を伸ばしたんだ。




『大丈夫…!今助けるからね…!』





その時、なにか聞こえた?


『うん、また鈴の音が聞こえた。』





でも、今までと少し違って…少しずつ大きくなっていった。




足音…。

《どこから?》


向こうから…。


《向こうって?》





分からない……。




その時、私は、足元が滑って崖の下へ落ちていったんだ…。




その後は…どうなったの?




その後が……今なんだ。



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朝倉 沙耶
私は…死んだの?
となれば…ここは、天国……?


『おい、お前…。』
という声と共に、私は、誰かに制服を掴まれた。
朝倉 沙耶
うわっ…!?
だんだん持ち上げられる…。


何…!?
そっと目を開くと…私を持ち上げていたのは…



でっかい狼だった。

でも、…二本足で立っていて…喋ってる!!?


『臭うぞ…お前人間か?』


朝倉 沙耶
…っ!……貴方は、誰…!?
狼は、舌打ちをすると…


『俺の質問に答えろっ!!』

朝倉 沙耶
ひっ……、は、はい。人間です…。

全てが怖い…。

ここはどこ? 突然掴まれて怒鳴られるし…。



何なの……??


『人間か…。そじゃ、山丸事務所に届けないとなぁ!?』


え、そこで何にされるの?



次の瞬間…私は、店の柱に縄で結び繋がられた。

朝倉 沙耶
痛い、痛い!!
『そのぐらい、強く結ばないと、お前さん。逃げるんだろ?』


通りかかる人は、冷たい視線で私見つめる…。

『そじゃ、電話するからな。大人しくしとけよ。』



二本足の狼は、両手をパンパンと叩くと、

ある壁に向かい…トントントンと、3回叩いたら…



どこからか、上の方から電話らしいものが落ちてきた。


番号を言ってから、電話先へ話し出す…。

私の目の前にある広い道には時々…獣や、妖怪らしいものも通り過ぎていた。


みんな、私を冷たい目で見つめていく。


『ああ、こいつ…人間だ。』





私は、ただただ怖くて震えていた。



ここは、私が知ってる世界じゃない!!



電話の声が耳に入る。



『変な服を下の人がうちの店にいるんですさァ。
人間だと思い出すさァ。
………はい、処分をお願いしますさァ。』




《処分》……?





私…殺されるの?





嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!!



家に帰りたい!!


朝倉 沙耶
ぐぅぅぅぅう………
私は、必死に逃げようと…

縄から手を出そうとする…が、

強く結んであるため、抜けようとするたびに…手首が痛い…!



まるで皮がむけてしまいそうだ…。


『帰りたい!!』


その事ばかりで…痛いとか、皮がむけてしまうとか…





どうでもよかった。




『処分される…。』

『処分される…。』

『処分される…。』


朝倉 沙耶
ゔぅうぅぅぅう……


右手が抜けた途端…縄が少しスペースが出来、


緩くなった途端、左手も縄から出して…、





素早く…私は、走り出した。








『あ、ちょっと待て!!誰かこいつを捕まれ!!』



という叫び声と共に、




『人間だァ!!!』



と騒ぎが大きくなる…。







私は、泣きそうだった。


帰り道は…どれ??……帰りたいんだ…。






私は、ただただ足を動かして走った。





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