あなたside
監禁部屋(?)からしばらく歩いた時、
・・・ツッコミずらい。
このまま口調のこと話していたら、話が進む気がしない。
お嬢様口調というか、ご婦人口調というのか。まあ、その路線の口調でいくのだろ。
付き合わせられるこちらの身にもなって欲しいくらいだ。
まじかよ。そのままでいいと言ったが、この口調のままで説教かよ。謎の精神的ダメージがありそうだが。
「まったく」
彰は頬に手を置きながらため息つく。
なんでその動きが様になってんだよ。どうしたんだよお前。
取り敢えず、私は適当に聞き流す。真面目に聞いていたらダメになるわ。この口調だと。
それに、
あ、ヤベッ。しくった。
ものすごい勢いでご自分を指さす、我が兄。
そこまで主張しますか?
そう言われてもね。
思い出すだけで、嫌になる。
けど、あんな事になったのは私の考え方が悪かったから。
今は見えない空を見上げて思う。
あの子は今でも私の事を見ているのかな。
信じてくれてるのかな。
あぁ、君に会いたいよ。
今更悔やんだって仕方がない。
頭では分かっていても、現実を受け入れることは簡単ではない。
あの頃に戻りたい。
けどさ。
自分を大事にしろってどれぐらいなんだろうね。自分ばかり大事にしたら、結局は自己中心的になるしさ。
世間の言う『ほどほど』って、どこなんだろうね。
意味がないじゃないか。
「言わずにはいられないんだよ。」
なんて言ってこいつは苦しそうな、怒っているようにも見える表情で笑っていた。
そんな顔をさせたわけじゃないのにな。
今まで黙っていた太宰が口を開いた。
周りを見れば。太宰以外の3人は先に進んでいる。
本当に迷惑をかけてすみません。
彼は背中を向けて歩き出した。私達もその背中を追って歩いた。
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余談
作者は無事に志望校に受かりました。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。