中学生になる頃には私には“感情”というものがなかった。
最初はみんな話しかけてきた。
でも、会話が全然繋がらないためか、私から話しかけないせいか、すぐに1人になった。
話しかけてくれる子もいなくなったけど、私は悲しいとも寂しいとも思わなかった。
私をネタにグループが作られていく。
出来たグループで私をいじめてくる。
高校生になっても変わらない学校生活になるかと思ってた。
言葉だけの「よろしく」だと思ってた。
だから私も、
と言った。
彼はとても人気者だった。
いつも彼の周りには人がいっぱい居て、彼の友達だと思われる人たちがいた。
だから私にはもう話しかけてこないと思った。
でも私の予想は外れてしまった。
そう言って無邪気に笑う彼に、
いつも話しかけてくる彼に、
ちょっと期待してしまった。
彼なら私を“助けてくれる”かなって。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。