第3話

続きです。
221
2018/09/13 11:35
おそ松
おそ松
はぁー…まさかあんなにハマってるとはなあ。
地下アイドルが好きなのは知ってたけど、
まさかあの子だとは思ってなかった。
おそ松
おそ松
まあいいや、見なかったことに…………
……ん?
何か落ちてる。
見ると、それはチケットに見えた。
おそ松
おそ松
………何だコレ?
橋…本にゃー……握手…券?
橋本にゃー…この名前、どっかで…?
おそ松
おそ松
あ、あー!さっきの子か!
…ヒマだし、行ってみるか、握手会。
そんな軽い気持ちで、行ってみることにした。
ーーー
………きっつ…
なに?なんでこんな行列なの?
これもはや地下アイドルの握手会のレベル
余裕で飛び越えてるよね?
おそ松
おそ松
意味分からない、何でみんなこの子に
夢中なんだ…?
まあ、見た目はそんなに悪くはないけど。
そう一人で呟くと、周りの視線が集まった
気がした。
………刺さるように痛い。
突き刺さる視線に耐えていると、
いつのまにかもう前は10人ほどになっていた。
人は嫌なことがあると、時間が早く
感じられるらしい。
ファン
い、いつも応援してますっ!
これからもライブ頑張ってください!
少し小太りな男だった。
にゃーちゃん
にゃーちゃん
ありがとにゃー♪
これからもよろしくにゃ♪
と言って、橋本にゃーだっけ?は嫌がりも
せず、男の手を握り返した。
…といっても、猫の手型の手袋の上から
だけれど。
おそ松
おそ松
はー、やっとここまで辿り着いた…
人生の中でこれほど苦労したのは、
初めてかもしれない。
ついに、俺の番がきた。
にゃーちゃん
にゃーちゃん
いつも応援ありがとにゃー♪
…………やっべ、可愛い。
そういえば、生で顔を見たのはこれが
初めてかも。
ライブを遠目で見たときは、モニターに映った顔しか見ていなかったから。
やっぱアイドルなんだなぁ…
おそ松
おそ松
あ、えっと、かわい…じゃなくて、
これからも頑張ってください!
にゃーちゃん
にゃーちゃん
ありがとにゃ♪
元気出るにゃー♪
そう言って、彼女は手をぎゅっと握ってくれた。
やっぱり、アイドルの握手会は手袋越しでも
良いものらしい。
少し照れるけど、彼女に触れられたのは
やっぱり嬉しい。
チョロ松が虜になるのも、わかる気がする。
手にはまだ、彼女の手の感触が残っていた。

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