第5話

数学
359
2018/02/06 13:54
悠燈(はるひ)
は、話戻すけど、わかったか?この問題……
一瀬くんの声で我に返り、焦って答えた。
あなた

う、うん、なんとなく!もっかい見せてもらっていい?

悠燈(はるひ)
お、おう!
私たちはお互いにどこもぶつからないよう気をつけながら教科書の受け渡しを行った。

どんな感じでやったかというと、できるだけ体を後ろに引きながら手だけ相手に向けて伸ばしてるみたいな体勢。

……はたから見たら完全に変な人だな私たち。
あなた

ここはね、この公式を使って……。はい

再び例のやり方で一瀬くんからシャーペンと数学のノートを借りた私は、ノートの空白にさらさらっと解答を書いてその紙面を見せた。

一瀬くんが感心したような声を上げた。
悠燈(はるひ)
おお、スゲェなお前。独学なのに頭良すぎだろ
あなた

いやいや。でも、ありがとう

勉強くらいしかすることないから、と言えばきっと一瀬くんは気を遣う。

だから、あえて私はお礼を言うだけにした。

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