帝先輩の言葉が、心に刺さる。
急に、これまでの自分の恋愛が正しかったのか、わからなくなる。
むっとして見ると、なぜか帝先輩はすごく辛そうな表情をしていた。
思い詰めたような表情が気になって見つめていると、ポツリと言葉が続く。
驚いて聞き返すと、帝先輩は慌てたように視線をそらした。
颯さんがヘッドフォンを外して、向こうから声をかけてきた。
同じセリフを同時に叫んだ私たちは、お互いの顔を見合わせた。
颯さんの言葉を聞いた私たちは、思い切り相手から顔をそむけた。
* * *
そう言って、颯さんはパソコンや機材を片付け始めた。
すると、颯さんは私をチラッと見て、
そして私たちは、颯さんオススメのラーメン屋に向かった。
* * *
私は、熱々のラーメンをずずっとすすって、思わず声を上げた。
颯さんの隣で、帝先輩がむすっとした顔で言った。
苦笑いした颯さんがちらっと横を見たけど、帝先輩はそしらぬ顔でラーメンを食べていた。
餃子をパクパクと食べていると、
そう言って、珍しく優しい笑顔で笑うから、思わずドキッとしてしまう。
思わず箸を止めて帝先輩を見つめていると、
すぐにいつもの無愛想な顔に戻った。
帝先輩に見とれてたなんて言えなくて、私は急いで残りのラーメンに取りかかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!