第9話

帝先輩の忠告
8,728
2023/01/31 11:00
吉村 帝
吉村 帝
お前って、ホントにすぐ好きになるんだな
吉村 帝
吉村 帝
目の前でその瞬間見て、呆れた
(なまえ)
あなた
いいなって思うと、すぐに恋心に変わっていくんですよね
吉村 帝
吉村 帝
ちょろい奴だな。
ま、実らねぇ恋ばっかりだけど
(なまえ)
あなた
……おっしゃる通りです
吉村 帝
吉村 帝
あのさぁ、
お前、本気で人を好きになったこと、ないだろ
(なまえ)
あなた
そんな!
いつだって私は真剣に恋してます!
吉村 帝
吉村 帝
そうか?
思い込みは激しいし、一人で勝手に盛り上がって、相手のことよく知りもしないで、告白してるだろ
(なまえ)
あなた
それは……
吉村 帝
吉村 帝
お前みたいな奴は、人を本気で好きになれない
(なまえ)
あなた
帝先輩の言葉が、心に刺さる。
(なまえ)
あなた
そんな……
(なまえ)
あなた
(私の恋は、本物じゃないってこと……?)
急に、これまでの自分の恋愛が正しかったのか、わからなくなる。
吉村 帝
吉村 帝
……第一、本気で好きになった奴にフラれたら、そんなに平気でいられるはずがない
(なまえ)
あなた
私だって、毎回傷ついてるんですけど
むっとして見ると、なぜか帝先輩はすごく辛そうな表情をしていた。
(なまえ)
あなた
帝先輩……?
思い詰めたような表情が気になって見つめていると、ポツリと言葉が続く。
吉村 帝
吉村 帝
まぁ、どれだけフラれても、めげずに次に行くバイタリティーは、うらやましくもあるけどな
(なまえ)
あなた
うらやましい?
驚いて聞き返すと、帝先輩は慌てたように視線をそらした。
吉村 帝
吉村 帝
うるせぇな!
今のは、忘れろ!
(なまえ)
あなた
えーっ、気になるんですけど
相良 颯
相良 颯
二人とも、さっきから何話してるの?
すごく楽しそうだけど
颯さんがヘッドフォンを外して、向こうから声をかけてきた。
吉村 帝
吉村 帝
楽しくなんかねぇ!
(なまえ)
あなた
楽しくなんかないです!
同じセリフを同時に叫んだ私たちは、お互いの顔を見合わせた。
相良 颯
相良 颯
ほら、息もぴったりで楽しそう
吉村 帝
吉村 帝
誰が!
(なまえ)
あなた
ふーんだ!
颯さんの言葉を聞いた私たちは、思い切り相手から顔をそむけた。
相良 颯
相良 颯
あれ……?
* * *
相良 颯
相良 颯
さて、今日の作業はここまでにしようか
そう言って、颯さんはパソコンや機材を片付け始めた。
吉村 帝
吉村 帝
そうだな。
腹も減ったし。
颯、この後ラーメンでも食いに行こうぜ
相良 颯
相良 颯
そうだね
すると、颯さんは私をチラッと見て、
相良 颯
相良 颯
あなたちゃんも行く?
(なまえ)
あなた
え?
相良 颯
相良 颯
あなたちゃんには協力してもらってるし、おごってあげるよ
(なまえ)
あなた
いいんですか?
相良 颯
相良 颯
もちろん
相良 颯
相良 颯
……あ、でも女の子にラーメン屋はないか。
もっとおしゃれな店のほうがいいかな
(なまえ)
あなた
いえ、ラーメン大好きなので、大丈夫です!
吉村 帝
吉村 帝
あなたなら、ラーメンで十分だろ
(なまえ)
あなた
どういう意味ですかっ!?
相良 颯
相良 颯
ははっ、じゃ、ラーメンにしようか。
最近帝とよく行くラーメン屋、本当においしいんだよ
(なまえ)
あなた
はいっ!
そして私たちは、颯さんオススメのラーメン屋に向かった。

* * *
(なまえ)
あなた
んんーっ!
美味しい!
私は、熱々のラーメンをずずっとすすって、思わず声を上げた。
(なまえ)
あなた
豚骨醤油のスープと、細めの麺が合う〜!
相良 颯
相良 颯
気にいってもらえて、よかった
(なまえ)
あなた
さすが颯さんオススメのラーメン屋さんですね!
吉村 帝
吉村 帝
ここ見つけたの、俺なんだけど
颯さんの隣で、帝先輩がむすっとした顔で言った。
相良 颯
相良 颯
そうそう、最近帝が見つけてくれて、二人でよく通ってるんだ
(なまえ)
あなた
煮卵もチャーシューも美味しいです〜!
相良 颯
相良 颯
そうだ、ここの餃子もおいしいんだよ。
よかったらどう?
(なまえ)
あなた
わ、食べたいです!
餃子大好き!
吉村 帝
吉村 帝
男の前でがっつくと、またフラれるぞ
(なまえ)
あなた
帝先輩と颯さんは、恋愛対象外なので大丈夫でーす!
相良 颯
相良 颯
へぇ、僕たちは恋愛対象外なんだね
(なまえ)
あなた
だって颯さんは彼女いるんでしょ?
それに帝先輩は、毒舌で性格悪いし
相良 颯
相良 颯
ははっ……
苦笑いした颯さんがちらっと横を見たけど、帝先輩はそしらぬ顔でラーメンを食べていた。
(なまえ)
あなた
あっ、餃子が来た!
相良 颯
相良 颯
あなたちゃん、どうぞ
(なまえ)
あなた
はい。
いただきまーす
餃子をパクパクと食べていると、
吉村 帝
吉村 帝
ほんとに餃子が好きなんだな
(なまえ)
あなた
はいっ!
吉村 帝
吉村 帝
笑える
そう言って、珍しく優しい笑顔で笑うから、思わずドキッとしてしまう。
(なまえ)
あなた
(なまえ)
あなた
(帝先輩のこんな表情、初めて見たかも)
思わず箸を止めて帝先輩を見つめていると、
吉村 帝
吉村 帝
なんだよ
すぐにいつもの無愛想な顔に戻った。
(なまえ)
あなた
いえ、別に
帝先輩に見とれてたなんて言えなくて、私は急いで残りのラーメンに取りかかった。

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