次の日。
朝、学校に行くと、すぐに朱里が私の元へとやってきた。
私の言葉に、朱里は手を合わせると、
朱里が、自分のことのように怒ってくれて、少しだけ気持ちが軽くなる。
朱里の励ましのおかげで、少しだけ笑顔が戻った。
* * *
そしてお昼休み。
私は、一人で慣れない三年生の教室が並ぶ南校舎へとやってきた。
唯人くんにフラれたことを、帝先輩にも報告しようと思った。
帝先輩のことだから『やっぱり、フラれると思った』なんて言いながら、意地悪そうに笑うんだろうな。
帝先輩のクラスから、にぎやかな声が聞こえてくる。
教室の扉からのぞいて探すけど、姿が見当たらない。
しばらく待っても戻ってくる気配がないので、教室に入ろうとしていた女の先輩に声をかけた。
その人は、ぐるりと教室を見渡した後、
私は拍子抜けしたままお礼を言うと、自分の教室に戻った。
* * *
次の日こそは帝先輩に言おうと思ってたのに、その日も、またその次の日も、帝先輩は学校を休んでいた。
授業中もそのことばかり考えて、先生の話が全然頭に入ってこない。
ため息をついて教室の窓から外を見ていると、鞄を持って歩いている帝先輩の姿が目に入った。
遅刻してきたのか、ゆっくりと歩きながら校舎に入っていく。
私はいてもたってもいられなくなって、先生に手を挙げると、
私は教室を出ると、ダッシュで南校舎の昇降口へと向かった。
そう思って、昇降口に続く階段を降りていくと、ちょうど下から登ってきた帝先輩の姿が目に入った。
帝先輩は私の姿に驚いていたけど、すぐに目をそらし、黙って階段を駆け上がる。
そのまま通り過ぎようとした帝先輩を呼び止めると、
冷たいその反応に、思わず言葉を失う。
突き放すような言い方に、私の思考が停止する。
帝先輩の言葉に、いい知れぬショックを受ける。
まだ言いたい事はたくさんあったのに、私はただ、去っていく帝先輩の背中を見つめることしかできなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。