イデアside

準備は整った

見たくないんだけどなぁ

皆が魔力を注ぎ込む

嗚呼

苦しい

あの場所だ

指差した先は

























檻のような場所

皆が戸惑う

でも

小さい時のあなたが見えた

あなた
［………］

ただ

ぼーっとしてる

無造作に伸びた髪

一度もお風呂に入っていない薄汚れた身体

服とも言えない布

嗚呼

痛々しい

そう言うと場面が変わる

その日は

あなたの誕生日

母
［はいこれ。誕生日プレゼントよ有難く受け取りなさい］

あなた
［ありがとうございます…お母様］

父
［ほら］

あなた
［ありがとうございますお父様］

兄･姉
［…］

あなた
［ありがとうございます…お兄様、お姉様］

母親はおめでとうもなくプレゼントを渡した

父親はほらと一言で終わった

兄と姉は無言

他の人達からも牢屋の前に置いてもらってた

あなたの声が響く

【気がついたら牢屋にいた】

                   【服とも言えない布を着せられてた】

【初めての誕生日で誕生日プレゼントを貰った】

【お母様からは手枷】

            【お父様からは足枷】

                                         【お兄様とお姉様からは首輪】

         【国の人達からはスノードロップの花】

一度皆がほっと胸を撫で下ろした

けど

違うんだよ

皆が殺気立ったのが分かった

あなたの響いてる声が

僕達が静かになったと同時にまた響く

【それが】

【最初で最後の】

                  【誕生日プレゼント】

無機質な

感情が無いような声で言われた

嗚呼、帰りたい

辛い

このあなたは

辛い

僕も

辛い

苦しい

哀しい