第6話

鏡の中のアリス
368
2018/06/04 07:22
白ウサギさん
白ウサギさん
フローラ。どこへ行くつもりだ
フローラ
フローラ
フローラ
フローラ
そんなの、わかんないよ!
フローラ
フローラ
とにかく逃げないと…殺されちゃう!
白ウサギさん
白ウサギさん
……
フローラ
フローラ
白うさぎさん。
白ウサギさん
白ウサギさん
なんじゃ?
フローラ
フローラ
私、何があっても白うさぎさんを助けるから。
白ウサギさん
白ウサギさん
そんなこと…
フローラ
フローラ
白うさぎさんが教えてくれたこと。
白ウサギさん
白ウサギさん
ん?
フローラ
フローラ
「人生とは自転車のようなものだ。倒れないようにするには走らなければならない。」
フローラ
フローラ
だから、走らなきゃ。
白ウサギさん
白ウサギさん
フローラ…
フローラ
フローラ
あっ
フローラ
フローラ
何あれ
白ウサギさん
白ウサギさん
ん?どこじゃ?
フローラ
フローラ
あれあれ
そこには、小さな扉があった。
フローラ
フローラ
行ってみよう!
目の前まで来てみると、小動物がちょうど入れそうなぐらいの扉があった。
フローラ
フローラ
そうだわ!
フローラ
フローラ
ここに、白うさぎさんは隠れてて!
白ウサギさん
白ウサギさん
?!
フローラ
フローラ
白うさぎさんなら入れるでしょう?
白ウサギさん
白ウサギさん
そうじゃが…
フローラ
フローラ
入ってみて!
白ウサギさん
白ウサギさん
わかった…
カチャ
フローラ
フローラ
どーおー?
白ウサギさん
白ウサギさん
フローラ!
フローラ
フローラ
どーおー?
白ウサギさん
白ウサギさん
凄いぞ!
フローラ
フローラ
だから、どーおー?
白ウサギさん
白ウサギさん
もの凄く高い!!広い!
フローラ
フローラ
ホントに?!じゃ、そこに居てね?
白ウサギさん
白ウサギさん
なっ…フローラも入るんだ!
フローラ
フローラ
やだ白うさぎさん。私は大きすぎて入れないわ
すると、ドシンドシンと音が聞こえてきた。
フローラ
フローラ
白ウサギさん
白ウサギさん
フローラ
フローラ
私、逃げなきゃ!
白ウサギさん
白ウサギさん
何を言う!フローラ!!どこへ行くつもりだ!
フローラ
フローラ
茂みかなんかの中に隠れるわ!!
フローラ
フローラ
っ…!茂みや木がない…!!どうしよう…!!
白ウサギさん
白ウサギさん
フローラ!
フローラ
フローラ
白ウサギさん
白ウサギさん
これをっ…!
フローラ
フローラ
!!なにこれ…!!
ドシンドシン
白ウサギさん
白ウサギさん
とにかく、これを食べろ!
フローラ
フローラ
…!!
パクっ
シュルシュルシュル…
フローラ
フローラ
ち、小さくなった!
白ウサギさん
白ウサギさん
早く、入るんだ!
フローラ
フローラ
うん!
バタン
フローラ
フローラ
…良かったぁ~!
白ウサギさん
白ウサギさん
全く。
フローラ
フローラ
あのクッキー?なのかしらどこで手に入れたの?
白ウサギさん
白ウサギさん
あの机の上にあったんよ
フローラ
フローラ
えっ?!あんな高いの…
白ウサギさん
白ウサギさん
その、まぁ、登ってとったんだ。
フローラ
フローラ
えっ?
白ウサギさん
白ウサギさん
なんじゃ?
フローラ
フローラ
今、声…違くなかった?
白ウサギさん
白ウサギさん
そんなことはないと思うが
白ウサギさん
白ウサギさん
いや、そんなことより!
白ウサギさん
白ウサギさん
せっかくワシが登ってる途中なのに、フローラが行く!って言うから…
フローラ
フローラ
ごめんなさい!
フローラ
フローラ
そんなことだったとは、知らなかったわ…
白ウサギさん
白ウサギさん
そしたら、もうひとつ、見つけたんだ。
フローラ
フローラ
なになに?
白ウサギさん
白ウサギさん
ほれ
それは、タグ付きのクッキーだった。
フローラ
フローラ
あら。これさっき食べた…いや、違うわ
フローラ
フローラ
「大きくなるクッキー」って書いてある
白ウサギさん
白ウサギさん
おいフローラ!
白ウサギさん
白ウサギさん
さっきフローラが食べたのには、「小さくなるクッキー」と書いてあるぞ!!
フローラ
フローラ
だから小さくなったのね!
フローラ
フローラ
てことは、これを食べたら…
白ウサギさん
白ウサギさん
大きくなる
フローラ
フローラ
ってこと?よね?
白ウサギさん
白ウサギさん
そういうことだろう。
フローラ
フローラ
すごいわ!
フローラ
フローラ
…って、ここは一体どこなの?
白ウサギさん
白ウサギさん
ちょっと探索してみるか
フローラ
フローラ
そうね
ここには、ソファや大きな古時計。
そして…
フローラ
フローラ
ねぇ!白うさぎさん!
白ウサギさん
白ウサギさん
どうした!!
フローラ
フローラ
これ!!
大きな扉があった。
白ウサギさん
白ウサギさん
こりゃあ、でかいな…
フローラ
フローラ
あのクッキーを食べれば!
白ウサギさん
白ウサギさん
大きくなれるな!
フローラ
フローラ
いっただっきまーす!
サクッ
ズルズルズル
フローラ
フローラ
大きくなったー!
白ウサギさん
白ウサギさん
開けてみろー!
フローラ
フローラ
ええ!
と、ドアノブに手をかけたその瞬間、ある張り紙を見つけた。
「定員1名様まで。不思議な世界が待っています。」
フローラ
フローラ
えっちょっ白うさぎさん!
フローラ
フローラ
1人しか行けないわ!
白ウサギさん
白ウサギさん
なんだと…
フローラ
フローラ
どうするー?行かないー?
白ウサギさん
白ウサギさん
いや、フローラだけでも行ってこい。
フローラ
フローラ
でも、白うさぎさんと二人で行きたい…
白ウサギさん
白ウサギさん
ルールは守らなくてはならん。残念だが、クッキーを食べてしまったフローラが行くべきだ。
フローラ
フローラ
私、1人だったら…
白ウサギさん
白ウサギさん
責任をもって行きなさい!!
フローラ
フローラ
!!!!
白ウサギさん
白ウサギさん
ワシはここで待っている!
フローラ
フローラ
あっ…
私の目から涙が出てきた。
フローラ
フローラ
うわーん!
白ウサギさん
白ウサギさん
ちょっ、フローラ…やめなさい!
フローラ
フローラ
わーーーん!!
白ウサギさん
白ウサギさん
お、溺れるっ!
フローラ
フローラ
うわーーーん!!
白ウサギさん
白ウサギさん
フローラ!
フローラ
フローラ
白ウサギさん
白ウサギさん
や、やめろ!泣きやめ!
フローラ
フローラ
はっ!!なにこれ…!!
海のように大洪水が起きていた。
白ウサギさん
白ウサギさん
早く、ドアを開けないと…
白ウサギさん
白ウサギさん
一生海だぞ!
白ウサギさん
白ウサギさん
死んでしまう…!!
フローラ
フローラ
はっ!ごめんなさい!
ガチャ
ザザーン
水はみるみるうちになくなっていった。
フローラ
フローラ
大丈夫?白うさぎさん
白ウサギさん
白ウサギさん
あぁ。なんとか…
白ウサギさん
白ウサギさん
とりあえず、早く行ってきなさい。
白ウサギさん
白ウサギさん
何かあったらすぐ戻ってきなさい。
白ウサギさん
白ウサギさん
ずっとここに居る。
白ウサギさん
白ウサギさん
何があっても。
フローラ
フローラ
…っ…!!
フローラ
フローラ
うん!すぐ戻る!必ず!
白うさぎさんは、優しく頷いた。
行こう。
このドアの向こうへ…!!
ガチャ
私はもう、後ろを振り替えなかった。

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