ヨンジュンに言いたいことが言い終わり、
また、静かに私の家へと歩く。
夜中であるのにもかかわらず
明かりが灯っている一軒家を指差す。
こんな時間まで電気が点いてるなんて……。
お母さん、心配してるんだろうな。
喧嘩したとはいえ、何も連絡しないで
一日以上家に帰らないなんて事して………。
ちゃんと、謝らないと。
家の玄関の前まで来ると、
私はヨンジュンに声をかけた。
鍵、開いてるかな。
(((ガチャ
あ、開いてた…………。
良かった。
久しぶりの家。
自分が悪いことをしたって分かっているから、
" ただいま "の声は無意識に小さくなった。
それでも、お母さんに
この小さな声は届いたらしい。
リビングから慌てたように、
携帯を握りしめたお母さんが出てきた。
そういえばスマホ、
自分の部屋に置きっぱだった………。
鬼の形相をしたお母さんは、
まだまだ私に問い詰める。
私は、頭を下げた。
今まで、お母さんに向かって
こんなに気持ちを込めて
頭を下げたことはなかった。
そんな私を見て、お母さんは言葉を止める。
そして、すぐに抱きしめられた。
あったかい……………。
家族の絆が肌で感じられた瞬間だった。
お母さんが泣くのは、久しぶりに見た。
お母さんを泣かせるなんて。
私は、バカ娘だ。
5日ってそんなにすぐか…………?
一旦体を離し、お母さんに話を持ちかける。
もちろん、ヨンジュンの話をね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。