第80話

No 75
16
2021/06/06 02:09







その数週間後。








西崎は教室である一言が耳に飛び込んできた






クラスメイト
ねぇねぇ、あのTwitter見た??
クラスメイト
見た見た!!!!!!







クラスメイト──いじめっ子の会話だ







正直聞きたくもないが、明らかに狙っているように

自分の席の近くで話されてはどうしようもない。





荒水は欠席で、席を立っても行く場所がないのだ。











クラスメイト
あれでしょあれでしょ?!!







二人のうち一人が興奮して声を高くする








西崎は少し興味を持ちかけた















のが、間違いだった








クラスメイト
RADWIMPSの謝罪文!!!!







自分の心臓が張り裂けそうなほど高鳴った







ドクン、と一つ一つの鼓動が身体中に響き渡る








西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…謝、罪…






意図せず言葉がこぼれ落ちた。







それを聞いたのか、二人はより声を張り上げて会話をする









クラスメイト
でもあれ、なんかよく分からない人でしょ?!!
クラスメイト
名前書いてなかった!
クラスメイト
スタッフさんじゃないの?!!!
クラスメイト
どこかの誰かさんがあんなに迷惑かけるからだよねぇw
クラスメイト
それなあw






間違いなくそれは自分に言っているようだった








教室の騒がしさも少しずつ薄れていき、

最終的には静かになってしまった








西崎は顔を伏せることしかできなかった










仮にスタッフがその「謝罪文」とやらを投稿しているのなら、



これは本人達にも少なからず影響は受けているだろう。

なんなら崖っぷちにいるかもしれない状況だ









西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…意味がわかんない…





弱々しく言葉が出てしまった







それをたまたま男子が聞いていたらしい。






西崎は途端に髪の毛を掴まれ、咄嗟に顔を上げる






クラスメイト
お前、さっきの言葉もう一回言ってみろよ
クラスメイト
何が意味わかんねぇ、だ






次は胸ぐらを掴まれる





どこか邪悪な笑みも浮かんでいた。






クラスメイト
お前がどさくさに紛れて家出するからこうなったんだろ?
クラスメイト
全部原因はお前にあるんだぞ
西崎 (なまえ)
西崎 あなた
……はい、
クラスメイト
しかも相手は日本を代表するほど有名なロックバンド
クラスメイト
とてつもなく人柄が良くて優しい一般人でもろくに会えねぇんだぞ
クラスメイト
なんでお前なんかが!!!!





グイッと顔を近づけられる





明らかに周りもザワザワ興奮しているようで、西崎は完全に独りだ






こんな時、荒水はいない。







クラスメイト
お前の神経どうにかしてんじゃねぇの?
クラスメイト
お前みたいな下僕が関わっていい人間じゃねぇんだよ





最後のトドメかのごとく、耳元に口を近づけて

そう囁かれた。













西崎 (なまえ)
西崎 あなた
……ぃ






西崎は涙ぐんでいた。



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