奇跡
きせき
キセキ
キ セ キ 。
あの時、彼女はそう言った。
その数日後の事だった。
3人がリビングにくつろいでいると、
野田のスマホから着信音が鳴り響いた
急いでスマホを手にする
応答しながら別室へ移動する野田
取り残された2人で話す
時折「うん」などの相槌の声が耳に入る
深く深呼吸する武田
ふっと桑原は立ち上がり、近くにあったギターを手にした
お前弾く?と言わんばかりにギターを武田に近づける
クスッと笑うと、桑原はギターを弾き始める
どこかで聞いたことあるような音色が奏でられる
武田はしばらく考え込み、ハッとした表情で言う
桑原が弾いていたのは
自身のグループ曲「人生出会い」だった
『出来上がった道を追いかけてたんだ
そしたら君にぶつかったんだ』
弾く手を止め、窓の外に目を移す
「人生出会い」は RADWIMPS というアルバムに収録されている曲
2003年のアルバムだった。
「さぁ?」とだけ言うと、ギターを1度ソファの上に置いて言う
にひっと笑う
少し談笑すると、電話を終えた野田が戻ってくる
──が、様子がおかしい
野田は拳を強く握ったままだ
すると握りしめていた拳を開き、テーブルに音を立ててつく
目を輝かせて言うのだが、2人には何を言っているのかさっぱり。
呆れた目で見る武田
──ここでも「奇跡が起きる」という言葉が交わされていたのだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。