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西崎の目からは,また涙が1粒頬をつたった
自分のせいで悪く見られたんだ
自分はどれだけ身勝手だったのか
そもそも家出する事が間違ってたんだ
もう彼らに見せる顔もない
どうしよう
早くここからいなくなりたかった
皆からの視線が痛い
ギュッと握りこぶしをつくる
必死に涙を堪えた
“自分1人で,あんなに炎上させたんだ”
どうするべきなのだろうか
もう手遅れなのだろうか
きっとこの情報は父にも届いている
帰ってどう説明すべきか
全て崖っぷちに追いやられていた
荷物を持ったまま教室を出た
学校の校舎裏へ,意味もなく走った
とにかく1人でいたかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!