無意識だったのだろう。
外は大雨が降っていて、傘も持たず西崎は走った。
行くあてもなく、とにかくどこかへ消えたかった
西崎 あなたという存在を、一瞬だけでも消したかった。
叫びながら慟哭した。
西崎は自我を失ったよう。
このまま誰も知らぬ森の中へ消え、餓死したかった
雨はどんどん強さを増していく一方。
同時に、西崎を跳ね返すような強い向かい風が西崎を襲った。
頬を濡らすものが雨なのか涙なのか。
RADWIMPS、という存在が苦しかった
RADWIMPS、というものが愛おしかった
RADWIMPS、というものが儚かった。
気づけば人通りのまったくない、暗い道に行き着いていた
はぁはぁと息を切らし、周りを見渡す
まったく知らない場所だ。
豪雨が地面をバチバチと強く激しく打ち付ける。
初めて自分が何をやっているのかを理解した様子の西崎。
あれだけ虐められても、唯一自分のままでいられた学校。
その場をも自分は壊してしまった
到底戻ることなんてできない
家だって帰りたくない
皆の家にも、帰れない。
西崎はもう頼るものがなくなって、でも不思議と恐怖はなかった
大体昼ぐらいのものだろうか。
西崎はまったく知らない道を辿った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!