第82話

No 77
17
2021/06/06 02:34






無意識だったのだろう。









外は大雨が降っていて、傘も持たず西崎は走った。









行くあてもなく、とにかくどこかへ消えたかった





西崎 あなたという存在を、一瞬だけでも消したかった。






西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…あぁぁあぁぁッッッ!!!!





叫びながら慟哭した。








西崎は自我を失ったよう。








このまま誰も知らぬ森の中へ消え、餓死したかった







雨はどんどん強さを増していく一方。




同時に、西崎を跳ね返すような強い向かい風が西崎を襲った。









頬を濡らすものが雨なのか涙なのか。














西崎 (なまえ)
西崎 あなた
訳わかんないよっ…






RADWIMPS、という存在が苦しかった









RADWIMPS、というものが愛おしかった








RADWIMPS、というものが儚かった。











気づけば人通りのまったくない、暗い道に行き着いていた





はぁはぁと息を切らし、周りを見渡す







まったく知らない場所だ。








西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…ここ、どこ






豪雨が地面をバチバチと強く激しく打ち付ける。






初めて自分が何をやっているのかを理解した様子の西崎。







西崎 (なまえ)
西崎 あなた
もう私、帰れないな…






あれだけ虐められても、唯一自分のままでいられた学校。







その場をも自分は壊してしまった






到底戻ることなんてできない





家だって帰りたくない






皆の家にも、帰れない。



















西崎はもう頼るものがなくなって、でも不思議と恐怖はなかった








西崎 (なまえ)
西崎 あなた
……今、何時なんだろう






大体昼ぐらいのものだろうか。





西崎はまったく知らない道を辿った。



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