第2話

No.1
67
2020/11/10 12:26







ある住宅街で一際目を引く脆い一軒家







灯りは薄暗く,どこか恐怖を感じる雰囲気だ.
















「5分後,部屋に来い」











家の中ではそんな声が聞こえる









西崎 (なまえ)
西崎 あなた
わかりました







──きっとそれは父親の声だったのだろう









高校1年生の美しい少女が敬語で応答する






西崎 (なまえ)
西崎 あなた
……あ〜あ…






すぐに父親は自室に行き,リビングには少女の他に人影すらない







母親は精神状態の関係で病院に入院しているらしい.










西崎 (なまえ)
西崎 あなた
この腕,どうすればいいんだろ









ふと服の袖をくくると,無数の切り傷自傷行為の跡や痣が浮かぶ腕










どれだけ追い詰められた環境なのかはこれだけで十分に伝わる






















──そして古い時計はまもなく深夜11時半を指そうとする





彼女にとって日課のように殴られる時間が迫りつつある















少し広いリビングから廊下に渡るとすぐに個室が数室.










1番手前の左手側にあるドアに手をかける










西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…遅くなりました






優しく2回「コン、コン」とノックして部屋に入る












──同時に











西崎 (なまえ)
西崎 あなた
い"ッッ…









腹部に振り落とされる拳は凄まじい勢いだった









西崎 (なまえ)
西崎 あなた
ごめんなさいッ…







「どれだけ遅れれば気が済むんだよッ」












次は右頬にビンタを










西崎 (なまえ)
西崎 あなた
………








身体中をひたすらに殴っては蹴る









それを繰り返していくうちに痛みは薄れていくようで











「味っけねぇな,」














そのまま飽きたら突き放される





西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…ごめんなさい







食事は一日一食







昼食にコンビニで買うパンやおにぎり1個くらい











……精神は限界を迎えようとしている







西崎 (なまえ)
西崎 あなた
もう逃げたいなぁ…

























暖房もつかずに凍えた部屋の廊下










立ち尽くしながら放った一言は静かな空間に飲み込まれていった.







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