第9話

No 8
32
2021/05/19 23:30









──あなたッッ!!!











西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…お父,さん…








──家を勝手に逃げて何やってんだ!!








西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…ごめんなさい







──おめぇらは誰だよ









西崎 (なまえ)
西崎 あなた
え──?










ここは間違いなく”彼“の家の前








_____なんで父親が?








野田 洋次郎
野田 洋次郎
自分の子供に何やってんだよ
















︎︎


桑原 彰
桑原 彰
恥ってもんを知れ

















︎︎



武田 祐介
武田 祐介
それでも親か?












──なんだと?













西崎 (なまえ)
西崎 あなた
お父さんッ







父に反抗しようと前に出るのは










野田

武田

桑原






…3人









西崎 (なまえ)
西崎 あなた
やめて!!








殴りかかろうとする父










必死に庇おうとはするが










武田 祐介
武田 祐介
ダメ







すぐに抑えられて













野田 洋次郎
野田 洋次郎
い"ッ…









その握り拳は










野田の腹部に強く当たる









西崎 (なまえ)
西崎 あなた
やめて…






やめて















やめて












止めないで









私を止めないで











もう家に帰るから








野田 洋次郎
野田 洋次郎
てめぇッ!!!









──死ねッッッ!!!!!



















西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…お父さんッッッッ!!!








手に持っている物はなに?──
























野田 洋次郎
野田 洋次郎
ッあ"ぅ"ッ……












……腕,血出てる












桑原 彰
桑原 彰
洋次郎!!!!











──ナイフ?












西崎 (なまえ)
西崎 あなた
……何してんの!!!!








無理矢理武田の腕を離して野田に近づく








──ナイフで深く刺されたのを大変痛がっている









西崎 (なまえ)
西崎 あなた
早く救急車──






︎救急車を呼ぼうと立ち上がると











野田 洋次郎
野田 洋次郎
やめ,…て
野田 洋次郎
野田 洋次郎
バレたら…ファンに迷惑かけるッ……



すぐに止める










ファンのことばっかり気遣って.

















──帰るぞ,あなた








すぐに引っ張り出される











西崎 (なまえ)
西崎 あなた
洋次郎,さん!!!_____

















.




























西崎 (なまえ)
西崎 あなた
っ…





思いっきり上半身を起こす





……だが,今見える景色は玄関ではない.
あの“お客さん用の部屋”だ







汗と涙でごちゃごちゃになっている西崎




部屋の時計は朝5時







──どうやら夢だったみたいだ







西崎 (なまえ)
西崎 あなた
……洋次郎,さん…








“洋次郎さん”










名前をろくに呼んだことがなかった








…なんと惨い夢だったんだろうか





西崎 (なまえ)
西崎 あなた
腕…







これが正夢にならない事を祈るばかり







目もすっかり冴えてしまった







西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…起きよ






ゆっくりゆっくり立ち上がるが,
床で寝たせいで腰がヒリヒリ痛む







西崎 (なまえ)
西崎 あなた
よい,しょ





壁にもたれながらドアをそっと開ける

音を立てないように静かに







やはりまだ自分以外は睡眠中のよう.
とても静まり返った家のキッチンに行く





西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…綺麗だな





この部屋がどこか落ち着く

室内は外の明るさもあり真っ暗で,電気をつけないとほとんど見えない





西崎 (なまえ)
西崎 あなた
朝ごはん作っといた方がいいかな.
西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…でも勝手に材料使ってもな




材料はある程度揃っているが,使っていいのかは分からない
「うーん」と考え込む














──すると,リビングの方からスロー再生のように遅いテンポの足音が聞こえた











西崎 (なまえ)
西崎 あなた
あ,おはようございます













野田 洋次郎
野田 洋次郎
ん〜,おはよ





家の家主が起床してきたようだ









西崎 (なまえ)
西崎 あなた
朝ごはん,作りましょうか?
野田 洋次郎
野田 洋次郎
いいよいいよ,俺が作るから…






目を擦りながらも答える野田




…このまま料理させたら間違いなく包丁で手を切る




そう察した西崎はすぐに料理に取り掛かる





西崎 (なまえ)
西崎 あなた
寝ぼけてたら危ないからゆっくりしといてください.
冷蔵庫のもの使っていいですか?
野田 洋次郎
野田 洋次郎
えぇ…いいよ
西崎 (なまえ)
西崎 あなた
ありがとうございます
野田 洋次郎
野田 洋次郎
こちらこそありがとうだよ






──今ある食材で作れる料理…







とりあえず味噌汁か?








西崎 (なまえ)
西崎 あなた
寝ててもいいですよ





冷蔵庫の中の味噌を手に取りながら告げる






野田 洋次郎
野田 洋次郎
んーん,あなたちゃん怪我しないか見張っとく
西崎 (なまえ)
西崎 あなた
怪我しませんよ







「ほんと〜?」と子供らしく問う


寝ぼけてたら余計子供っぽくなるのか?この人








少し可愛らしく思えたのは内緒に.













西崎 (なまえ)
西崎 あなた
いいですから,いいですから






身長差約20センチの男性をリビングに押して連れていこうとする








…けど,力なしの女には1ミリも動かせっこない








野田 洋次郎
野田 洋次郎
はははw
力ないね?
西崎 (なまえ)
西崎 あなた
うるさいです!






キャッキャと遊んでいるように無邪気




こっちは朝からこんな巨体男に力注いでるのに…









一瞬そう思ったが,野田の笑顔にこちらもつられていく







西崎 (なまえ)
西崎 あなた
……ふふっw
野田 洋次郎
野田 洋次郎
あっ,笑った





野田が嬉しそうにこちらを見る








今のは作り笑いでもなんでもない















──本当の笑顔だ











西崎 (なまえ)
西崎 あなた
…笑った…?





正直自分でも驚いているよう





























___いつぶりだろう,心から笑えたのは.











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