──夜 22時
“…よし”
この時から西崎はもう決心をしていた
パソコンで仕事をしていた野田に一言告げ,
あの客室へ向かう
...本来まだ寝るつもりではない
「手紙」
そう
彼女は今度こそと、明日家を出る
今日出るつもりが抑えられた.
今日か明日にはここを“1度”出るつもりだった
理由も手紙に綴っておかないと.
──この手紙を書き終えたら,深夜の1時頃まで持つ
リビングの机に手紙を置いてこっそり帰る
「申し訳ない」という気持ちもどこからか感じられた
丁寧な字で紙1枚を埋める
…1時までにはだいぶ時間がある
眠気はなし
深夜になるのを心待ちにする.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!