︎︎
へへっと照れ笑いを見せる
色々な面を持っていて彼は本当に面白い．
真剣な時もあればこうやって子供になる時もある
出会って今約数十分
西崎は野田に魅力を感じていた
野田はどこか遠くを儚げに見つめている
西崎は「仲間」と言う言葉をあまり聞いたことがなかった．
自分に「友達」もいない
そして本当の家族からの「愛」も知らず生きてきた
…だから“仲間”なんて言葉は自分の中で需要もない
そしてふっと西崎に目線を移す野田
口が裂けても 暴力から逃げてきた とは言いたくない
言ったらそれなりに面倒くさいことにもなるだろう
曖昧な,誤魔化すような返事で場をやり過ごせたなら．
「ふぅん」と一言だけ言うと,またどこか遠くに視線を移す
この二言だけで十分彼のことがわかった気がした
幼い頃に両親とどんな関係だったのか．
コクリと頷く
だが,それで終わりじゃなかった
…そんな思ってもなかった言葉を発した
“運命の出会い”とでも言うのか?
野田は少し顔を赤らめている
そう言い放った直後．
また1人,男の人が現れた
野田がとてつもなく驚いた様子で後ろを見つめている
唖然としている と言うのだろう
2人用のベンチじゃ3人座れないので,
公園のちょっとした段差を用いて3人で座る
彼らは仲良しらしい
一緒にロックバンドをやっている人の1人か?
やはり誰しもがそう言うだろう
桑原も西崎をジーッと見つめている
変に気を使われそうで罪悪感に覆われる
事情がバレて大事になるのだけは避けたいと．
2人に丁寧にお辞儀をする西崎
しかし,到底すぐに返してもらえる訳もない
急いで逃げようとすると,桑原が先を追い越して通せんぼする
本当に鬱陶しい
西崎は「あ…」と絶望の顔を見せた
自分のついた“嘘”が返ってきた
「喧嘩した」という嘘が．
自分の発言に後悔した瞬間．
誘惑に負け,ついて行く事になってしまった
“この先どうなるんだろう”
そんな不安が頭をよぎる．
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした！<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。