その後も公園でしばらく時間を潰した
そして時間は朝の7時。
いろんなこと考えてたらこんなに時間経ってたんだ
……え、5時間もここにいたの?こんな素朴な公園に?
一気に恐怖が込み上げてくる
この前はたまたま撤収してくれたからよかった
でもいざ家に帰ると本気で殺されるかもしれない
包丁持って血相変えて襲ってくるかもしれない
…いや、きっと大丈夫
自分はまた会わないといけない人がいるから
生きて帰ってこないといけないから
今、自身最大の勇気を出す時
自宅への1歩1歩を進んでいく
季節は冬,まだ空は夜のように真っ暗
ほんの少しの家の明かりなどを頼りに歩く
心臓もバクバクとうるさく鼓動する
……怖い(白目)
深呼吸をする
たまに人とすれ違う
たまに懐かしく思う建物を見かける
自宅付近に来るといっそう怖さが体を駆け巡る
…なんだか色々なことを感じるようになった気がした
今まで懐かしいとかの気持ちはなかった
通りかかる人に目を向けたこともなかった
やっぱり内面まで自分はすっかり変わったんだ
数十分歩くともう到着
手が震える
でも今更引き返せやしない
ドアノブに手をかける
この先には暗い未来が見える
辛かった過去が見える
でも
…自分を強くする扉を、開く
日光で照らされた室内に,変わらぬ恐怖と懐かしさを感じた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!