悪魔に出会った
間違いない。
これは雨の日の出来事
約1時間前
僕はいつも通り荷物をまとめていた
「知らないの?」
え?何?
雨にまつわる都市伝説?
悪魔?バカバカしい
この世にいるわけないじゃん
悪魔の羽の形をしたピアスをつけて
傷だらけで
目が細くて
口を開けると牙がある
そうだよ。会ったらダメなのかな?
「天使。」
天使っぽいものばっかりつけてるし
優しいから皆にそう呼ばれていた
本当に会うなんて思わなかった
僕は傘を回しながら歩いていた
「ニャー…」
「ほら、よしよし家に連れてってやるから」
本当なら行かなかった
でも、体が勝手に動いた
そこに居たのは
悪魔の羽の形をしたピアスをつけて
首に傷がついてた
人だった
出会ってしまった
僕は動くことが出来なかった
悪魔が振り返った
目を細くして言った
動くことが…出来なかった
…怖くて…でも
ただ……
熱が出たのかと思った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!