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第5話

気持ちのないキスはお断り
至近距離にある春の顔。

少しずつ近づいてきて、
吐息が私の前髪をくすぐる。

(なんなの、急に……)
泉沢 美月
泉沢 美月
は、離れて
結城 春
結城 春
やだ
春の骨ばった長い指が、
私の顎を軽く持ち上げる。
結城 春
結城 春
ほんと、間近で見れば見るほど、
美月ちゃんって美人だよね。
キスしたくなってきちゃった
泉沢 美月
泉沢 美月
冗談、でしょう?
結城 春
結城 春
本気に決まってんじゃん。
めっちゃ綺麗
顔を傾けて、キスしようとしてくる春。

(この、強姦チャラ男野郎!)

私は背後に手を伸ばすと、本を1冊手にとり、
春の頭めがけて振り下ろした。
結城 春
結城 春
いってー!!
角っ、角が頭に食い込んだ!!
春は情けない声をあげて、
頭を抱えながらその場にしゃがみ込む。
泉沢 美月
泉沢 美月
いや、今強姦されそうだったんで
結城 春
結城 春
キスくらいで大げさすぎない?
泉沢 美月
泉沢 美月
むしろ、春のキスの価値が低すぎ
るんじゃない?
私は本をきっちり棚に戻して、
図書室の椅子に座る。

それから春を睨みつける。
泉沢 美月
泉沢 美月
次やったら、しかるべきところに
突き出すから
結城 春
結城 春
美月ちゃんが言うと、
冗談に聞こえないな
泉沢 美月
泉沢 美月
本気だけど
結城 春
結城 春
……肝に銘じます
げんなりしながら、
春は大人しく私の隣に座る。
泉沢 美月
泉沢 美月
それで、なんで図書室に来たの?
まさか、本気で強姦する気だった?
結城 春
結城 春
その気がなかったと言ったら、
嘘になるけど……
泉沢 美月
泉沢 美月
へー……やっぱ、110番かな
スマホを取り出して番号を押すと、
春が慌てだす。
結城 春
結城 春
早まるなって!
冗談デスヨ、冗談………な?
スマホしまって、しまって!
キッと睨むと、春は笑顔を引きつらせて、
「本当に冗談デスヨ」と片言でごまかそうとする。

結城 春
結城 春
さっきの見たでしょ?
授業中だろうと、女子から質問攻めに
される。だから今日は1限サボり
泉沢 美月
泉沢 美月
わかってたなら、
なんであんなこと言ったの?
(もっとうまくやってほしい。
私の今後の学校生活のためにも)
結城 春
結城 春
んー、俺たちが付き合ってることは
いずれバレることだし、時間が空けば、
あの子たちも冷静になるでしょ
(その時間が必要だから、
授業サボるの?)
泉沢 美月
泉沢 美月
春、それでいいの?
結城 春
結城 春
なにが?
泉沢 美月
泉沢 美月
女子に振り回される生活、
疲れるんでしょ? 
だったら、はっきり断ればいい
結城 春
結城 春
もう俺に近づくなって?
はは、できるならそうしてる
(どういう意味?)

首を傾げていると、
春は後頭部で手を組み、
椅子の背もたれに深く寄りかかる。
結城 春
結城 春
女って面倒じゃん。
冷たくすると、俺が女たらしとか
なんとか噂して
泉沢 美月
泉沢 美月
冷たくしなくても、
女ったらしって、
皆、公認してると思うけど
結城 春
結城 春
まあね、でも、邪険にはされない。
なんでかわかる? 俺が特定の相手
を作らないからだよ
泉沢 美月
泉沢 美月
ああ、そういえば……。
春のファンって、春のことを
〝うちらのもの〟って言うもんね
結城 春
結城 春
そーいうこと
どこか他人事のように話す春。

その諦めたような横顔から、
なぜか目が離せない。
結城 春
結城 春
それから、彼女も代わる代わる
作ってるから、美月ちゃんが嫉妬で
傷つけられることはないよ
(なんだろう、この違和感。
女の子が面倒だと言いながら、
女の子が傷つかない配慮をしてる?)

泉沢 美月
泉沢 美月
春は……。
女子に嫌われるのが怖いの?
結城 春
結城 春
え?
泉沢 美月
泉沢 美月
それとも、自分のせいで好きに
なった女の子が傷つくのが怖い?
結城 春
結城 春
……!