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第9話

モテ男の嫉妬
結城 春
結城 春
ね、本当に俺の彼女に
なっちゃわない?
泉沢 美月
泉沢 美月
軽っ、無理
結城 春
結城 春
即答か……
泉沢 美月
泉沢 美月
私、彼氏は作る気ないから
結城 春
結城 春
なんでまた
泉沢 美月
泉沢 美月
……なんでも
少しの間のあとに、それだけ言って、
私は夕日が乱反射する川を眺める。

(綺麗だな……)

(もう二度と、この景色を見ることは
ないかもしれないんだよね)

そう思うと、急に切なくなる。
結城 春
結城 春
美月ちゃん?

突然、目の前に春が回り込んでくる
泉沢 美月
泉沢 美月
え? なに?
結城 春
結城 春
いや……俺の勘違いか。
泣いてる気がしてさ
泉沢 美月
泉沢 美月
……っ、理由もないのに、
泣いたりしないよ
(……嘘)

本当はほんの少しだけ、
終わりを意識して泣きそうになった。

けれど、私は平気なふりをして、
ごまかすのだった。

***

春と偽装カップルになって、
1週間が経った。

──昼休み。
泉沢 美月
泉沢 美月
最悪……
数分前、トイレの個室に入った途端、
春のファンの子に上から水をかけられた。

おかげで、濡れネズミ状態だ。

(春の嘘つき)

『彼女も代わる代わる作ってるから、
美月ちゃんが嫉妬で傷つけられる
ことはないよ』

(被害に遭ってるんですが)

うんざりしながらトイレを出ると、
クラス委員の宮田くんと鉢合わせる。

宮田 誠
宮田 誠
泉沢 美月
泉沢 美月
宮田くんは私の頭のてっぺんから
足先まで見ると、
無言でブレザーを脱いで私の肩にかける。
宮田 誠
宮田 誠
保健室に行けば、
ジャージ借りられるから
泉沢 美月
泉沢 美月
このブレザー……
宮田 誠
宮田 誠
着たままでいいよ。
それより、付き添うから
そう言って、宮田くんは私の背に
手を添えながら歩き出す。
泉沢 美月
泉沢 美月
あの、宮田くん。
付き合わせるの悪いから、
もう、ひとりで大丈夫だよ
宮田 誠
宮田 誠
それ、春のファンに
やられたんでしょ?
泉沢 美月
泉沢 美月
う、うん
宮田 誠
宮田 誠
きみがひとりだと、
また狙ってくるかも。
だから付き合う
泉沢 美月
泉沢 美月
クラス委員長の鏡だね。
クラスメイトを気遣うなんて
宮田 誠
宮田 誠
それは違う
宮田くんが足を止めた。
宮田 誠
宮田 誠
あんなんでも、
俺の親友だから。春の大切なものは
一緒に守りたいってだけ
泉沢 美月
泉沢 美月
あー……やっぱり、
春って過去になんかあったんだね
春の大切なものを守りたいなんて、
まるで前に守れなかったみたいな
言い方だ。
宮田 誠
宮田 誠
……春がなにか話した?
泉沢 美月
泉沢 美月
はっきりとは、なにも
首を横に振ると、
宮田くんは『じゃあどうして?』と
言いたげに見つめてくる。
泉沢 美月
泉沢 美月
ただ、女の子に嫌気が差してる割には、
付き合った子がファンの標的に
ならないように気遣ってるし……
宮田 誠
宮田 誠
特定の彼女を作らないってやつだね
泉沢 美月
泉沢 美月
そうそう。
過去に好きな子が傷つけられたり
したのかなって
宮田 誠
宮田 誠
そこまでバレてるなんて、
やっぱり泉沢さんって鋭いね。
春の演技にも気づいてたし
泉沢 美月
泉沢 美月
演技って、女の子に対して
優しく振舞ってる、あれのこと?
宮田 誠
宮田 誠
そう。きっかけは、
中1のときだったと思う
宮田くんは、過去を見つめるかのように
遠い目で話しだす。
宮田 誠
宮田 誠
春のファンの子が
春の彼女をイジメたんだ。
好きな女の子を守れなかったって、
春が自分を責めてるところに、
今度は彼女からも『こんなに辛い思いを
したのは春のせいだ』って罵られてね
泉沢 美月
泉沢 美月
え……春は、悪くないでしょ。
その子はいっぱいいっぱいだったのかも
しれないけど、春だって同じくらい
辛かったはずなのに
宮田 誠
宮田 誠
泉沢さんは、強いね。
そのときのことを引きずって、
今も女の子を信じられずにいる春には、
泉沢さんくらい強くて優しい女の子が
合うのかも
泉沢 美月
泉沢 美月
私? まさか、それだけはないよ
春なら女の子選びたい放題なんだから、
その中で心から好きだなって思える
子と結ばれるべき
宮田 誠
宮田 誠
泉沢さんはそう言うけど、
俺はその女の子が泉沢さん
なんじゃないかって思ってるよ。
だから、俺にも守らせて欲しい
泉沢 美月
泉沢 美月
春の大切なものに、私は入らないよ
宮田 誠
宮田 誠
試してみる?
泉沢 美月
泉沢 美月
え?
宮田 誠
宮田 誠
春にとってきみが、本当に
大切なものに入らないかどうか
(どういう意味?)

眉を寄せたとき、
宮田くんに腕を引かれる。
泉沢 美月
泉沢 美月
わっ──
そのまま廊下の途中にある
空き教室に引きずり込まれた。
泉沢 美月
泉沢 美月
宮田くん、なにして──
宮田 誠
宮田 誠
しっ
私を抱きしめた宮田くんは、
人差し指を自分の唇に当てる。

そのすぐあと──。
結城 春
結城 春
美月ちゃん!

──ガッと戸口に手を突き、肩を上下させ、
息を切らした春が現れる。
泉沢 美月
泉沢 美月
え、なんでここに春が?
結城 春
結城 春
あ、いや……。
たまたま、ふたりが一緒にいるのが
見えて……
宮田 誠
宮田 誠
俺たちをつけてたんだよ
泉沢 美月
泉沢 美月
やっぱストーカー?
結城 春
結城 春
そこ、結託して俺を犯罪者に
仕立て上げるな。それより誠
宮田 誠
宮田 誠
ん?
結城 春
結城 春
美月ちゃんに、
なにしてくれちゃってんの。
俺の彼女なんだけど
宮田 誠
宮田 誠
偽装、でしょ。
春が彼女の交友関係まで
縛る権利ないと思うけど
結城 春
結城 春
偽装だろうとなんだろうと、
今は俺の彼女なんだよ