あぁ...しぬんだ。
何も出来ないまま……死ぬんだ
医者の話なんか、頭に入ってこない
どうして母さんが泣いてるんだ
俺が泣きたいよ
知らないうちに入院が決まって、知らないうちに病室のベットの中にいた
俺は生まれつき体が弱くて、入退院を繰り返してた
ついに、癌か
そう言って母さんは病室を出ていった
弟の達也が羨ましい
丈夫な体に産まれて
元気に育って
きっとすぐ母さんなんて達也しか構わなくなる
現に父さんだってそうだ
みんな元気ですくすく育ってく方が可愛いんだ
きっと……友達も。
またしばらく学校に行けそうにないな
留年確定かな
ベットから起き上がって靴を履いて外に出た
--------キリトリ線--------
いつもの特等席のベンチに人がいた
女の子だ
肩より少し長くて、真っ黒くでつやつやな髪
自然と体が動いてた
突然名乗り出したからびっくりした
眩しい笑顔
いいな。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。