朝だ……
まだ生きてる
ぐーっと背伸びする
愛ちゃん、覚えてるかな
立ち上がって窓の外を見る
母さんの車がないか見る
もうちょっとで来てくれるかな
元気でいなきゃ。
ガラガラ
達也と来たんだ
いいな
友達...いいな。
母さん達と入れ違いで担当の先生が入ってくる
まだ荷物はカバンから出てないからカバンを持つ
--------キリトリ線--------
病室に入って目が会うと昨日とは全然雰囲気が違った
元気がなかった
愛ちゃんみたいに俺は誰の記憶にも残らないのかな
きっと明日には母さんは来なくなる。
達也しかもう見てないから
あんなに早く帰ったの初めてだ
いつの間にか先生はいなくなってた
ベットの中に入って友達4人のバンドのグループを開く
まだしばらく入院することは言ってない
病気の名前だけは伏せておこう
ただまた入院することになったってだけでいい
そしたらみんなまたかよって笑ってくれるから
また治るって言ってくれるから
さっきまで打ってた文を消してまた新しく文字を打ってく
「俺、癌になった。しばらく学校にいけそうにない。いつもごめんな毎回大事な時に入院して1回も役に立てなくて。だからバンド抜けるよ。新しい仲間でも探して、俺より絶対にいいひといるから。無理にお見舞いに来なくていいから。また学校にいけるようになったらよろしく。弱い自分でごめん」
ぎゅっと抱きしめてくれた
愛ちゃんの心の中に残りたい。どんなに記憶がなくなったって
きっと愛ちゃんの中に残れたら俺はもう、死んでいい
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。