レッスン場に行くと、まだ照史しか来てなかった。
照史は顔をうずめて座り込んでて、名前を呼んでも動かなかった。
不思議に思いながらもう1度名前を呼ぶ。
でも動かない。
肩をゆすって呼ぶと、照史はびっくりして飛び跳ねた。
そう聞くと、照史は明らかに無理をして笑った。
そう聞くと、首を横に振った。
照史はそのまま伸びをして僕から離れていった。
もうずっと一緒におるんやし、照史がしんどいのも、照史がいつもとなんか違うのも分かるのに、
照史が聞いて欲しくないのなら、これ以上深入りしないほうがいいのかな、なんて思う自分がいて。
でも、照史がしんどいのも分かる。
最近、事務所の人にいろいろ言われるし。
ユニットをなくすって話も、東京ジュニアだけにしようって話も出てるし、
でも、それだけじゃないねん。
僕らが1番言われるのは、7WESTのこと。
あのユニット、作ったの失敗だったなって、
病人がこの仕事をやる資格なんてないって、
そんな言葉は今も胸に突き刺さったまま。
僕や照史は関西ジュニアでも年数が長くて、その間にたくさんの人が辞めていって、今や1番上になってしまって、
だからこそ僕らに色々と言われるんやけど。
正直、しげに腹が立ってた。
だって、しげは7WESTのセンターやろ?
スキルのことやって言われてんねんから、周りから言われんようにもっとしっかりしてほしい。
それに、最近めっちゃ悪戯増えてるし、
正直、
鬱陶しいんや。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。