レッスンで、久しぶりにお昼ご飯を望と濱ちゃんと食べた。
お昼ご飯食べながら、望はしげのことを話してくれた。
上の人や、その他大勢から、きつく言われるのを、望は「陰で見てた」そう言った。
ー「お前は7WESTのセンターだろ?病気なんて言い訳しないでちゃんとやれよ」
ー「また入院かよ~、いい加減にしてくれよな」
しげは、いつも頭下げて、「すいません」って謝ってたって。
よく知らない人には笑顔に見える、引きつった上手な作り笑いをしながら。
でも、もっと悲しかったのは、先輩たちの言葉。
ー「デビューするのって、大変だよ。それがゴールでもないし。・・・あきらめるのも、大事だと思う。」
悪気はない。
むしろ善意で言った言葉。
大変になるのは本人なんやから。
でも、大好きな先輩に、尊敬してる先輩に、簡単に言えば「諦めろ」ってそんなこと言われて、しげ、どんな気持ちやったんかな。
きっとまた、「そうですよね~」ってヘラヘラ笑ってたんやろう。
それがムカつく。
絶対にそうやからムカつく。
望が見ていたそれ以外の場所でも、たくさん責められて、
それでも誰にも言わず、たった1人で耐えていたしげを、
それでもみんなを笑顔にしようと頑張ってたしげを、
鬱陶しい奴だと思っていた自分が、
1番ムカつく。
しげ、
ほんまにごめんな?
ほんま、
俺ってアホやわ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。