第34話

濱田side
1,210
2018/03/29 18:01
レッスンが終わって、淳太君、望と3人で照史の家に行くことにした。

照史の話を、俺らは何も聞いてない。

レッスンでしんどそうにしてたんやって知ってたけど、声もかけなかった。

耳が聞こえへんらしく、振り付けもついて行くのが大変そうやった時もあったのを知ってた。

でも、助けてあげられなかった。



ちゃんと、話をしないと。





照史の家に着いてチャイムを鳴らすと、かなり経ってからドアが開いた。

ドアを開けた照史は、僕らを見て動揺してた。


中間
照史・・ちょっとだけ話せるか?
「帰ってや」とドアを閉めようとする照史に、淳太君が優しく言うと、戸惑いつつも照史は家にあげてくれた。






散らかった部屋。

乱雑に置かれた服。



淳太君は「照史の一人暮らしは不安だらけやなぁ」って机の上に置かれたカップ麺見て、一生懸命笑顔をつくってた。

望は俺にぴったりくっついたまま、照史の動きを不安げに見つめてる。




照史って、こんな人やっけ。


照史は、明るくて、よく冗談を言って笑わせてくれる、ムードメーカーみたいな人やのに、


でも、今目の前にいる照史は、

笑いもしない、冷たい人だった。

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