第42話

桐山side
1,205
2018/03/30 13:11
重岡
せんせー!今時間ある?
あの後、落ち着いて話してたら耳の話になって。

そしたらしげ、先生呼んでしもて。
重岡
照史くんな?耳、聞こえにくいみたいやねん、診てくれる?
先生の腕を握ってしげが聞くと、先生は僕を見て真剣な顔になった。
先生
診察室で話そっか
「俺はええんやけど」って声も届かず、言われるがままに診察室に行く。

でも、診察室まで行くと、しげは「僕は外で待ってる」と中には入らなかった。


先生
突発性難聴やなぁ
診察の後、先生はそう言って苦笑した。
先生
なんで病院サボったりしたん?早くしてれば早く治る確率やって高いんやで?
かかりつけの病院さぼってたこと言うと、そう言われてただ頭を下げた。



耳が聞こえへんくなって、どこかしょうがないって思ってた。

自業自得やなんて、そう思ってたのは自分自身。


きっと、内心みんな嬉しかったんちゃうかな。





・・・しげやって。





重岡
入ってもいい~?
そんな声がしてびっくりして顔を上げると、しげが診察室のドアから顔をのぞかせてた。

先生が頷くと、しげはたたーっと走ってきて僕の隣に座った。


重岡
照史君の耳、治るよな?
しげが先生に尋ねると、先生は困ったように笑った。
桐山
う~ん・・照史君の場合、かなり病院も薬もサボってるしなぁ、あと、まず照史君の感じてるストレスを減らしてあげなな。
しげ、どんな顔してるんやろう。

自業自得やって、思ってるんかな。




先生
・・・大毅君?
ふいに先生の心配そうな声がしてしげの方を見たら、しげはパッと表情を明るくした。


重岡
大丈夫!絶対に治るよ!

しげはぎこちなく笑って僕の肩をたたいた。


不思議に思いながらも、診察も終わって部屋を後にしようとすると、先生に僕だけ引き止められた。

「俺に内緒で二人で何の話するんや!」って怒るしげがちゃんと病室へ向かうのを見届けた後、先生は僕の方を見た。


先生
・・・大毅君は、最近変わったことない?

プリ小説オーディオドラマ