しげが出ていった後すぐ、濱ちゃんが照史に向かってった。
照史君を壁に押し付けて声を上げる。
震える声がして振り向くと、神ちゃんが照史君と濱ちゃんを睨んでいた。
一気に言うと、神ちゃんは部屋を走って出ていった。
頭の中が混乱してて、上手く状況がいまだに呑み込めなくて。
そう言って部屋を出た。
今大変なのは望で、しんどいのは望で、今気遣うべきは望。
でも、なんでデビューがどうのこうのなんて話が今でるんやろう。
ただ、今までため込んだもの全部、不満やイライラを、一気にしげにぶつけただけなような気がする。
確かに、悪気があったわけではないけれど、悪戯したしげも悪い。
でも、照史君も、淳太君も、濱ちゃんも、しげのことを避けてたのは確かだ。
それはずいぶん前からこの俺やって気付いてた。
あからさまにしげが話しかけても無視したり、レッスンでしげが隣に来ると位置変えたり。
そりゃめんどくさいんやろなとは分かってたけど、さすがに酷いなと思ってた。
なにより、
照史君、
なんであんな、取り返しのつかない言葉を言ってしまったんやろう。
なんで、
こんなことになったんやろう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。