第46話

桐山side
1,234
2018/03/31 14:46
しげに会いに行った次の日、また顔出しに病院行こうかなって思ったけど、マイナスな考えばっかり浮かんで結局行けなかった。


1週間ほど経った頃、しげのほうからメールが来た。


ー今日退院やねん!遅れた分レッスン頑張るぞぉぉ!

って。


しげの文章を読むと、やっぱり自分の感情に負けずに会いに行っとけばよかった、なんて後悔する。


やから、今日はメール読んですぐに病院に向かった。



こんな僕でも荷物運んだりとか手伝えることはあるやろうし、少しは力になれるかもしれへん。

そう考えながら病院の廊下を歩いてたら、しげの病室の前に、見慣れた人。





中間
大丈夫なん?ゆっくり歩いてや。
重岡
大丈夫やって~!もうピンピンやで!

しげの肩に手をおいて心配そうにする人は、淳太君だった。





思わず反対方向へ帰ろうとしたその時、




重岡
照史君や!

しげが僕に気付いてしまった。


恐る恐る振り向くと、淳太君と目が合ってしまって、めっちゃ気まずい。



しげは淳太君の腕を引っ張りながら僕の方へ走ると、にこっと笑った。
重岡
来てくれたんやね、ありがと~!めっちゃうれしい!
そう言うと、しげは後ろで気まずそうにしてる淳太君の背中を「ほら!」と押した。
中間
あの・・・照史・・・

目の前に淳太君。

あかん、どうしたらええん?

目も合わせられない。


でも、


ちゃんと謝らな!


って頭を下げようとした時、





ーゴチンッ
桐山
いったぁぁぁ!!
中間
ちょ!いったぁ!!
目の前の淳太君と頭が思いっきりぶつかった。


てか、誰かに勢いよく頭下げさせられた!


絶対に頭を下げさせたであろう犯人の顔をばっとみると、


重岡
ごめん、強すぎた!
なんて笑ってる。


強すぎたなんてもんちゃうわ。


そんなしげに苦笑いしながら頭痛くてさすってたら、


重岡
ほらほら!握手!ごめんなさい!仲直り!ほら!!
しげに無理やり淳太君と握手させられて、僕と淳太君両方の顔を覗き込んでは「はよ~」と急かす。


きっと、いつもなら「黙れ!」なんて言いそうな淳太君が、今日は違ってた。



中間
・・・ごめんな、照史
無理やり握手させられた僕の手を強く握ってそう言われて、「え・・?」と顔を上げる。

違うやん。

淳太君が謝るんとちゃうやん。


中間
照史のそばに1番おったのに、なんもできひんかったし、それに、照史はほんまに辛かったのに、・・・ほんまごめんな・・
そう言い終える前に、握手したまま、今度はちゃんと自分で頭を下げた。
桐山
ちゃう・・、淳太君はなんも悪ないねん・・。心配してくれてたのに・・・意地張ってほんまにごめんなさい
自然とあふれる涙。

でも、そんな僕に、「もうええから」って淳太君の優しい声。


あの日以来、誰より信頼してた淳太君でさえ、本当の気持ちは話せなかった。

淳太君はきっと、俺のこと嫌いになったやろうなって、近づけなかった。



でも、やっぱり淳太君は淳太君。

優しい、僕の相方。



重岡
いえ~!淳太と照史君仲直りやぁ~!せや!仲直りのダンスしようや!3人で!
強く握手した僕らを見て、そう言ったしげが、僕らと手を繋いで妙な動きをしだして、淳太君と顔を合わせて笑った。
中間
もー、頭おかしいやろ
淳太君が呆れながらも笑ってて、僕も泣いてるままやけど笑ってた。


そんな僕らの真ん中で笑うしげは、子どもみたいに無邪気な笑顔で。


仲直り、してほしかったんやなって、すごく嬉しくて。



それにしても、

しげは、仲直りの天才かもしれへんな

なんて笑いながら思った。

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