第54話
濱田side
みんなでワイワイ食事をして、時計を見たらもう7時だった。
そろそろ帰ろうかなって雰囲気になった時に、しげが「ちょっとだけいい?」と僕らを引き止めた。
唯一高校生の望にしげが聞くと、「うん!親には連絡してるから大丈夫やで」って笑う望。
そんな望に、しげは「そっか」と頷いて、何か言いにくそうに俯いた。
しげのおとんとおかんはいつの間にか違う部屋に行ってて、7人だけのリビング。
淳太君が心配そうに聞くと、しげが思いっきり頭を下げた。
「え?」という声が響く。
望の名前を出すと、しげは苦しそうな表情をした。
しんみりとした空気になって、照史はまた、涙を流してた。
強く言ったのは、流星。
さっきまでずっと黙ってた流星やのに、はっきりそう言う。
流星に、望に、神ちゃんに言われて頷きながら泣いてしまったしげを見てたらたまらなくなって、思いっきり抱きしめた。
僕が言うと、淳太君も近づいて、しげの背中をさすった。
数時間前にも同じ言葉を交わしたのに、
また同じ言葉が飛び交う。
それぞれの肩を叩いたり、背中さすったりしながら、
「ごめんな・・・」
「俺の方こそごめん・・」
飛び交う言葉に、望がふっと笑った。
そんな一言でみんなが吹き出して、
「一生分のごめん言ったな」なんて言いながら顔見合わせて笑った。
この瞬間、すごく、幸せだと思った。
僕ら、7人一緒がいい。
1人だって欠けたらいけない。
素直に、ありがとう、ごめんねって言える関係が愛おしい。
きっと俺ら、一生仲良くできるやろな、
なんて、そんな確信でいっぱいだった。