望が救急車で運ばれて、処置をしてくれた望の担当医、
「ここまでひどい過呼吸は本当に滅多にないよ」
って言ってた。
そりゃ、そうよな。
こんな酷いの頻繁に起こってたらまいってまうわ。
入院になったから、望の家に連絡したら、あいにく両親とも共働きで病院に来れるのが遅くなるらしく、
やから許可を得て、望のおとんとおかんが来るまで、病室にいることにした。
無事に夕方ごろに目を覚ました望にそのことを伝えると、
「いつものことやから」
って笑った。
でも、その笑顔がどこか寂しげで。
望はそれっきり何も言わず、僕に背を向けて窓の外を眺めていた。
この沈黙が耐えきれなくて、咳払い。
長い沈黙の後、そう言った。
はっきりと言えなくて、もごもご言いながら、もう一度、「ほんまにごめんな」そう謝ると、
そんな不安げな声が響いた。
分からなかった。
7人でやりたいと思う。
でも、正直、
照史のことを今は許せない。
10時過ぎてから、望の両親が来て、挨拶して病室を出た。
廊下を歩いて、エレベーターに乗った時、
そういえば、ここ、来た事ある。
って、思いだした。
7WEST結成して、まだ間もないころ。
もう、あれからかなり経つんやな。
あの日のはしゃぐ望の顔、
嬉しそうだったしげの顔、
急によぎって。
照史のことを許せない。
心なしか、能天気な奴だと、しげのことを避けていた自分も許せない。
だけど、
やっぱり元通りの7人に、早く戻りたい。
でも、一体どうやって。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!