あれからしばらく経って、時間とともに、心の中にあった怒りや訳の分からない気持ちは消えていった。
もともとあんまり気にしない方やし、嫌なことがあっても寝れば忘れるタイプ。
だから、みんなもきっと次の日には元通りになるやろうって思ってた。
でも、違ってた。
時間が経てばたつほど、深まっていく溝。
何度も濱ちゃんと話そうと思った。
僕はもう気にしてへんし、怒ってへんよって。
でも、できなかった。
濱ちゃん自身も、僕らには近づきにくそうやったし。
7WESTとしての活動も、3人じゃ意味がない、とできないまま。
まあ、もともと上の人からすれば7WESTなんてどうでもよかったやろうし、自然消滅も時間の問題やと思った。
このまま僕ら、バラバラになるんやろうか。
たった1度の傷で、夢まで語り合った7人が、バラバラになってしまうんやろか。
もやもやしたまま帰り道を歩く。
一緒に帰ってた望は、気を遣っているのかめっちゃ明るくて、そのまま手を振って別れた。
俺は年上やのに、望のために何もしてやれないどころか、気まで遣われている。
ほんま、
頼りにならへん。
ー♪
考えながら歩いてたらスマホが鳴って、とんでもない声がでた。
電話に出ようと見た、ディスプレイにうつる名前は、
しげやった。
電話に出る前に、僕は深呼吸した。
久しぶりに聞いたしげの声に、なんだかあたたかくなる。
何も言えずにいると、しげが不安そうに「・・流星?」と名前を呼んだ。
慌てて返事すると、しげが微かに笑った。
少しの間のあと、しげにそう言われた。
図星や。
なんでやろう。
なんでこんな頼りない俺と話したいなんて思うんやろう。
なんで今、景色が滲んでるんやろう。
また、しげの心配そうな声が聞こえてきた。
しげ、ありがとう
かろうじて言えた感謝の言葉は、震えてた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。