第23話

流星side
1,215
2018/03/26 16:26
あれからしばらく経って、時間とともに、心の中にあった怒りや訳の分からない気持ちは消えていった。

もともとあんまり気にしない方やし、嫌なことがあっても寝れば忘れるタイプ。


だから、みんなもきっと次の日には元通りになるやろうって思ってた。



でも、違ってた。


時間が経てばたつほど、深まっていく溝。



何度も濱ちゃんと話そうと思った。

僕はもう気にしてへんし、怒ってへんよって。


でも、できなかった。


濱ちゃん自身も、僕らには近づきにくそうやったし。



7WESTとしての活動も、3人じゃ意味がない、とできないまま。

まあ、もともと上の人からすれば7WESTなんてどうでもよかったやろうし、自然消滅も時間の問題やと思った。



このまま僕ら、バラバラになるんやろうか。

たった1度の傷で、夢まで語り合った7人が、バラバラになってしまうんやろか。






もやもやしたまま帰り道を歩く。

一緒に帰ってた望は、気を遣っているのかめっちゃ明るくて、そのまま手を振って別れた。



俺は年上やのに、望のために何もしてやれないどころか、気まで遣われている。


ほんま、
頼りにならへん。





ー♪
流星
うお!
考えながら歩いてたらスマホが鳴って、とんでもない声がでた。

電話に出ようと見た、ディスプレイにうつる名前は、




しげやった。





電話に出る前に、僕は深呼吸した。



流星
・・もしもし・・?
重岡
あ、流星・・?

久しぶりに聞いたしげの声に、なんだかあたたかくなる。
重岡
ごめんね・・?急に電話して

何も言えずにいると、しげが不安そうに「・・流星?」と名前を呼んだ。

流星
あっ!はいはい!ごめん、びっくりして・・
慌てて返事すると、しげが微かに笑った。
重岡
・・流星、ごめんね・・・、嫌な思いさせて

少しの間のあと、しげにそう言われた。


重岡
・・いろいろ考えて・・でも、このままじゃあかんとおもって・・その・・流星と・・話したいなって思ってん
流星
俺と・・?
重岡
うん。・・神ちゃんはほら、熱くなっちゃうし・・小瀧とは話せそうにないし・・流星はな、寝たら全部忘れそうやったし。
図星や。
重岡
・・流星となら・・落ち着いて話せる気がしてん・・・あかん・・かな?

なんでやろう。


なんでこんな頼りない俺と話したいなんて思うんやろう。






なんで今、景色が滲んでるんやろう。


また、しげの心配そうな声が聞こえてきた。


しげ、ありがとう


かろうじて言えた感謝の言葉は、震えてた。

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