あれから3週間、照史はちゃんとレッスンに来てはいる。
遅く来て早く帰るし、絶対にそばには来ないけど。
まだ照史とは1度も口をきいていない。
ちゃんと話さなきゃ、と思うんやけど、一言がかけられない。
望は、退院してすぐにレッスンに来るようになった。
ほとんど見てるだけの日もあるけど、僕らの様子が気になるんやろう、絶対に休まなかった。
流星と神ちゃんは、僕らと目も合わせない。
かなり距離を置かれてる。
流星は、神ちゃんに合わせてそうしてるように見えるけど、神ちゃんはほんまに怒ってる感じやった。
しげは、
あれから一度もレッスンに来ていない。
体調が悪いんかなって、メール何度もしたけど、返事なんか来ないどころか、既読すらつかなかった。
電話かけても、電源切られとるし。
正直、僕らの関係性もこれで終わるんやろうなって、思った。
だって、僕らはこれといって何か共通点がある訳でも、
7人でユニット組んで活動してるわけでもないし、
ただ、
ただ、
7人でデビューしようね
って、
約束しただけ。
そう。
約束しただけ。
僕らの約束なんて、誰が知ってるわけでもない。
誰が、僕ら7人のことを期待してるわけでもない。
ただ、7人で小指を結んだだけ。
なのに、
どうしてこんなにも辛いんやろう。
7人一緒にいないだけで、
回る世界すべて意味がないような気がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。