照史君の前に立ちはだかったしげは、そう言って神ちゃんと濱ちゃんを見た。
全員の視線がしげに集中した。
立ちはだかったしげの腕を握って、照史君が震える声で言った。
大声で言ったしげに、「・・なんで・・」と神ちゃんが呟いた。
泣きそうな神ちゃんをじっと見て、しげは首を横に振った。
しげの言葉に、しゃくりあげるような照史君の泣き声が響いて、
神ちゃんも濱ちゃんも、何も言えなくなった。
ただ、何度も何度も「ごめん」と謝る照史君。
ふいに濱ちゃんがそう言った。
濱ちゃんはそう言うと頭を掻いて俯いてしまった。
淳太君の言葉に頷いて、みんなが円になるように座りだす。
どうすればいいのか戸惑っていて少し離れた所で座ろうとしてた神ちゃんの腕をしげが引っ張って、強引に自分の隣に座らせて、
ぎこちなかったけど、濱ちゃんは自ら照史君の隣に座って、泣きじゃくる照史君の背中をさすってた。
きっと、神ちゃんやって、濱ちゃんやって、この期間、辛かったはず。
それでもきっと、みんな7人一緒にいたいという気持ちは同じなはず。
だから、大丈夫。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!