拓が運んできたお粥を食べる。
拓の返事を聞き、お粥が入ってた皿を置く。
掛け布団を被り寝ようとするが、ベッドに座っている拓を見て、1つの我儘が頭に過ぎる。拓の裾を引っ張る。
拓の顔は言葉と違い笑顔だった。俺の返事が分かっているんだろう。
言い終わった後、顔の真ん中まで布団を被った。
頭を撫でる拓の手は優しくて温かくて気持ちいい。
自分でも意識せずにそんな言葉を口に出していた。
本気で心配している顔をする拓に思わず言い返してしまった。俺の言葉に拓は目を見開く。
頭に手を当て、長い溜息をつかれる。
身を乗り出す拓。元々恥ずかしかったのもあり、頭まで布団を被った。
静かになり、そっと目だけを布団から出すと
そう言って、手を広げている。最後に少し音程が上がっていたが、少し迷ってから胸に飛び込んだ。
拓の言葉に少し納得がいかなくて頭をぐりぐりと押し付ける。拓は笑いながら、頭を撫でてくれた。
ベッドの中でも抱き締めている拓の顔を見上げて言う。拓は少し考えてから、
拓の胸に顔を埋めながら、1つ疑問をぶつけた。
記憶を探る様子を見せてから、あぁ...と頷く。
心の中では喜んでいるが、拓には伝えないことにした。
拓の腕の中で規則正しく子供を寝かせるように背中を叩かれ、いつの間にか俺の意識は眠りの中に入っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。