赤葦
君は
執事失格
………!?
(あ、赤葦が私の執事だってこと知ってるの…?)
いつから…
最初っからかな♪
………っ…………
……赤葦、ちょっとこっち来て
…………はい
(何されるんだ…)
…急なんだけどさ
君、あなたちゃんのこと好きだよね
……っ……!?
………………はい
やっぱりね
まぁあなたちゃんは俺のものだけど!!
……それを踏まえて質問なんだけどさ
…なんでおじょーさまの作戦に協力してんの?
………逆らえないからです
俺はお嬢様の前では無力ですから
…………ほんとに?
………え?
主人が間違ってることをしてたら止めるのが執事じゃねぇの?
でも………
あなたちゃんが好きなら止めてみなよ
……っ…
じゃないと俺、あなたちゃんのこと奪うから
それじゃ
…………………
黒尾さん…………
あっ、赤葦〜やっと戻ってきた〜
……お嬢様
どうしたの………黒尾さんになんて言われたの
………お嬢様、今から言うことを黙って聞いてください
えー…黙って…
いいから
……分かったよ…
………まず
あなたは間違っています
っはぁ!?!?
黙って
黙るわけないでしょ!!!
ただ自分のことを否定されたから怒るんですか
……っ……!
……続けますよ
…あなたはなぜあなたをいじめるんですか
なにか目的があるんですか?
さよの黒尾さんを取ったから…!
………さよさんは頼んだんですか?あなたに
……頼んでないけど、友達としての気配りっていうか…!
さよさんはあなたと仲良くなっています
ではなぜ?
単純にあなたが嫌いなだけなんじゃないですか?
自分の作戦を邪魔したってだけで嫌いになるんですね
そんなこと…!
それかあれですか
さよさんに嫌われたのはあなたのせいだって言うんですか
そんなこと一言も言ってない…!
じゃあいじめなくていいんじゃないですか?
…………やだ
……………理由もなくいじめるんですか
理由あるし…!
言ってみてください
…………………っ…
………はぁ、大口叩いた癖に言い返せないんですね
な、なんなのよさっきから偉そうに!!
これも執事の仕事です
だからって私に逆らうの!?
執事は、赤葦は!黙って私の言うこと聞いてればいいの!!
…………そんな執事いません
なんでも言いなりなんて俺はごめんですよ
じゃあ執事なんてやめてよ!!!
…………はい、そうさせて頂きます
…………………え?
今までありがとうございましたお嬢様
え…ちょっと…赤葦?
従順な執事がお好きなら他を探してください
ちょっと待ってよ…!許可がおりてないじゃない…!
許可?たった今、お嬢さまの口から出たじゃありませんか
執事なんてやめてよと…
俺、元従順な執事だったんで
あ…かあし……ごめん…ごめんて、嘘だから…!
1度言った言葉は取り消せませんよ
…ということでもうお嬢様の所には戻りません
御屋敷に戻ることもありません
これからは俺の自由なんで
さようなら元お嬢様の
葉月さん
スタスタスタスタ…
………っ……!
……全部あいつのせいだ…
もういい…自分の力で
あいつら全員後悔させてやる…!
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!