それじゃ一気に仕上げよう。

裏ごしまでは、いいけど、ここからは俺も手伝う

さ、あとは皆で作ったマロンクリームを
タルトに乗せれば完成だ

もうひと踏ん張り
集中力を切らすなよ

ここまでよく頑張ったな。

あとはタルトのてっぺんにマロングラッセを置いてくれ

よし、最後に粉砂糖をふりかけてっと……

悪い悪い。ケイトも来たからついな

そうだ。ケイト、あれやるだろ？どうせ

お前たち、好きな食べ物はなんだ？

一体いくらすんだ。そのタルト

嘘だろ。庶民じゃ到底手が出せない代物じゃないか

ああ。それじゃあ、いくぞ。
……『薔薇を塗ろう（ドゥードゥルスート）！』

ではマロンタルトをもう一口どうぞ。

あ、ああ

どこでそんなの知ったんだ？いくら創造主の血族でも分からないだろ

だよな

燐羅はああいったが、実際効力は短時間しか持たないから
ドゥードゥル（落書き）みたいなものだ。

だから俺はこの魔法を
ドゥードゥル、落書きって呼んでる。

いや……俺の魔法なんか、寮長の魔法に比べれば
子供のオモチャみたいなものだ。レベルが違うよ。

………………さ！今日はもう遅い。
タルトを寮長に渡すのは明日にして、寮に戻ろう。

明日は『何でもない日』のパーティだ。
遅刻するなよ。

燐羅

なら、デュースが行くか？

副寮長の俺が、外泊許可を出してやるぞ

お前はダーメ

じゃあ、燐羅。うちのが2人も
邪魔して悪いが、明日までよろしくな。

怪我したりとかしないなら構わないぞ

行ったな

何がだ？

むしろその方がいい。ちょっと嫌な予感がしてるからな

そうだな

どうかしたのか？

……もう大丈夫だ。俺が寮長に話をしてくるよ。
お前たちは部屋に戻ってろ。

悪いな、ケイト。

そうだ、紅茶は避けてハーブティーにしてくれ。確か
第153条で夜のお茶について決められていたはず……